(1) 復興交付金の活用

 東日本大震災で被災した市民、事業者及び支援団体への市支援策も、税の減免、国民健康保険に係る減免、損壊家屋解体に伴う廃棄物の処分、特別災害見舞金、子どもの心のケア、農業者や中小企業への金融対策、緊急雇用対策、各種使用料の減免等、全庁的にあらゆる部局で展開されていった。ここでは、国の復興交付金の活用による災害復興事業、及び被災者の暮らしの立て直しの基本となる、住まいに関する支援についてとりまとめる。

 市の地震被害への対応は、災害復旧事業のほか、復興交付金が活用された。復興交付金とは、2011(平成23)年11月成立の国の第3次補正予算及び同年12月成立の東日本大震災復興特別区域法において創設されたもので、被災自治体の復興を資金及び手続き面で支える中核的な制度であった。福島再生加速化交付金とは異なり、岩手、宮城等、東日本大震災で被害を受けた地域が交付対象であった。国は、基幹事業としてパッケージ化した5省40事業に関し、財政面における地方負担を著しく低減して被災地のハード事業を支えた。

 市は、復興交付金によって、福島県との共同で林業研究センター施設管理事業、大槻町八坦及び桜木一丁目造成宅地滑動崩落緊急対策事業、及び災害公営住宅整備事業を実施した。宅地滑動崩落緊急対策事業は、既存擁壁にクラックが入った急傾斜地の宅地に対し補強工事を行うものであった。災害公営住宅整備事業は、地震により住宅が滅失し借上げ住宅に入居している被災者の居住の安定確保のため、既存市営住宅の空き室90戸を改修し、提供する事業であった。