(2) 東日本大震災からの復旧と復興

 東日本大震災とそれに伴う福島第一原子力発電所事故は、被害が大きかった分、復旧・復興需要も大きかった。破壊されたインフラや産業基盤の再建のみならず、震災や原発事故で生活・事業基盤を失った人たちの生活再建、事業再建需要が長期間にわたって経済活動を押し上げる役割を果たした。

 復旧・復興需要の面では、まず政府は東日本大震災後の2011(平成23)年7月に期間10年の「東日本大震災からの復興の基本方針」をまとめ、特に2015(平成27)年度までの5年間を「集中復興期間」と位置付け、被災地の復旧・復興に集中的に取り組むこととした(後半の2016(平成28)年度からの5年間は「復興・創生期間」と位置付け)。復旧・復興事業の規模については、集中復興期間の5年間が少なくとも19兆円程度、10年間の復興期間を通じては少なくとも23兆円程度とされたが、2015(平成27)年6月の閣議決定で、改めて2016(平成28)年度からの5年間を「(第1期)復興・創生期間」と位置付け、2011(平成23)年度~2020(令和2)年度の復旧・復興期間10年間の事業規模を32兆円程度とすることとした(注1)。

 また、今回の復旧・復興局面では、民間事業の復旧・復興を目的とした各種補助金、助成金、公的融資、信用保証などのセーフティネットが過去の災害時に比べ相当充実したほか、民間金融機関も積極的な融資姿勢で民間の事業再建を後押しした。


注1.なお、2020(令和2)年7月の政府の復興推進会議において、2021(令和3)年度以降も各地域の復興状況に応じた取組が必要であるとして、2021(令和3)年度から2025(令和7)年度の5年間を「第2期復興・創生期間」と位置付け、復興期間15年間(2011(平成23)年度~2025(令和7)年度)の事業規模を 32.9兆円程度とすることを決定した。