(3) 中型店の経営戦略と出店動向

a ヨークベニマルの経営戦略

 創業者大高善雄氏の「野越え山越え」の精神に基づく基本理念「小売業は地域に根ざした産業」の考えのもと、各店舗に品揃えや売場づくりに関する権限を大幅に譲渡、地域に密着した店づくりに取り組んでおり、地域の味を重視し、総菜コーナーの充実も図っている。既存の出店エリア内やその周辺地域にきめ細かく出店していく「ドミナント出店」を基本とし、ヨークベニマルを核とした複合型商業施設(ヨークタウン)により、福島県を中心に宮城県、山形県、栃木県、茨城県の5県に235店舗(2021年2月時点)を展開している。この間、電子マネーnanaco導入によるキャッシュレス化の取り組みや、ペットボトル・古紙回収システム開始による環境保全への取り組みも行っている。2021(令和3)年に本社を郡山駅東口近くに移転、同年2月時点で売上高4,690億円、従業員2,810名となった。


図5 ヨークベニマル本社

b ゼビオの経営戦略

 「スポーツ、ファッション商品を通して、お客様の求める最高の商品価値を創造、提供できる商品開発とショッピングそのものの楽しさやサービスを提供できる店舗づくりを継続的に実現し、「オンリーワン」企業になること」を目指している。中枢事業であるスポーツ小売事業においては、市場規模と立地特性により「スーパースポーツゼビオ」「ゼビオスポーツエクスプレス」「ヴィクトリア」等のそれぞれの業態が持つ「強み」と「特性」を活かした新規出店や店舗再配置を行っている。2021(令和3)年3月時点で、グループ店舗数は国内815店、国外49店の計864店であり、国内では北海道から九州まで各地に店舗網を有し、主に関東地区を中心に出店している。また、さらなる成長のために、国内外の有力企業との協業や提携、相乗効果が期待できる事業や企業の買収などに取り組み、グループアセットの増強を進めている。この間、2012(平成24)年上海で海外1号店をオープン、2015(平成27)年、純粋持株会社体制へ移行し、ゼビオホールディングス株式会社のもとに中枢会社6社を配置した。2021(令和3)年3月時点で売上高2,024億円、従業員2,647人となった。