a 中心市街地動向
郡山駅周辺は、モータリゼーションの進展や大型店の郊外立地、居住の郊外化などに伴い、都市機能が散在する状態にある。その結果、人が集まるコミュニティの場としての役割の減少や、中心市街地の空洞化が進んでいる。この期間、2008(平成20)年に閉店した丸井郡山店を2014(平成26)年に取り壊し、同跡地に2017(平成29)年、13階建の複合商業ビルがオープンした。1階から3階は飲食店等が入居する店舗スペース、4階以上には、福島県内初となるダイワロイネットホテルが開業した。2016(平成28)年には、約20年近く空きビルとなっていて、郡山駅前空洞化の象徴と言われてきた旧トポスビルを解体し、駐車場として整備した。
1970(昭和45)年から実施されてきた郡山中町の「なかまち夢通り」歩行者天国は、2018(平成30)年から毎週日曜のみ実施になり、2021(令和3)年には廃止となった。
【うすい】
郡山市民、福島県民に「みんなのデパート」「夢のデパート」として長年親しまれており、2012(平成24)年には創業350周年を迎えた。2013(平成25)年には、地下食品売り場をリニューアルした。その後、2016(平成28)年には三越伊勢丹ホールディングスが、うすい百貨店の株式を一部売却したことにより、三越伊勢丹傘下から独立した。2020(令和2)年、中合福島店の閉店により、福島県唯一の百貨店となる。
【モルティ】
JR郡山駅とペデストリアンデッキで直結し、バスターミナルと隣接した場所にある。福島県初出店となった「スターバックスコーヒー」を始め、県内で唯一のブランドやショップ、飲食店があり、多彩な新スタイルを提案している。
【アティ】
西口駅前広場に面し、B1Fから3Fまでは「ヨドバシカメラ」、4Fから8Fはファッション、スポーツなどの専門店が入居している。2019(令和元)年に耐震補強と内外装の工事が完了。駅前ロータリーに面した北側は、カーテンウォールを使って刷新し、西側には県内最大級のLED街頭ビジョンを設置した。
b 駅前西口通り通行量の変化
郡山駅を乗降する買物客(在来線、新幹線、エスパル側改札口)の通行量(調査日の9~18時)は、『資料編』(第4編・9-8)のとおり、2012(平成24)年が14,994人、2018(平成30)年は14,963人とほとんど変わってないことが分かる。一方、まちなかでの通行量について2012(平成24)年と2018(平成30)年比で通行量が増加した場所は、ダイワロイネットホテル~アティ郡山横断歩道(1,865人増)、次いで、うすい前(1,060人増)、セントラルビル~ダイワロイネットホテル横断歩道(863人増)となっている。郡山駅を降りた買物客がアティ郡山横断歩道を渡って代官小路を通り、うすい百貨店に向かう通行量が多くなっている。逆に、減少した場所は、彩陶ツタヤ前(829人減)で最も多く、次いで、旧ココ前(367人減)、ペデストリアンデッキ(258人減)の順で、大町、駅前アーケード近辺の通行量が減少している。
c 活性化施策
大町土地区画整理事業(2005(平成17)年から事業施行、2025(令和7)年完了見通し)大町地区は、JR郡山駅の西口に隣接する恵まれた立地条件にも関らず、地区の中心に位置する都市計画道路日の出通り線、県道須賀川二本松線などの街路が未整備であり、また地区内には老朽化した建物が立地しており、都市機能が低下している状況である。この土地区画整理事業が実施されることで、土地の整序、集約が行われ、公共施設が整備されることによって、宅地の有効利用を推進し、建築物の耐震・不燃化を誘導することにつながり、郡山市の玄関口にふさわしい良好な市街地の形成が図られる。