(1) サービス業

 サービス業とは極めて幅の広い概念である。総務省統計局の基準によれば、日本標準産業分類(大分類・2013(平成25)年10月改訂)で「G情報通信業」「H運輸業、郵便業」「K不動産業、物品賃貸業」「L学術研究、専門・技術サービス業」「M宿泊業、飲食サービス業」「N生活関連サービス業、娯楽業」「O教育、学習支援業」「P医療、福祉」「Rサービス業(他に分類されないもの)」の合計がサービス業となっている。「人が人を対象にサービスを行う産業」の全体をサービス業と呼ぶととらえれば良いだろう。この中には大きく性格の異なるものも含まれており、一部は本冊の他の節などでも取り上げられている。ここでは、主に統計分析からサービス業の全体像を把握することを目的としたい。

 表1に郡山市の産業別事業所数と従業者数を示した(2021(令和3)年)。

表1 郡山市の産業別事業所数と従業者数(2021)
区分 総数 民営 公営
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
総数 15,355 172,862 15,045 162,868 310 9,994
農林漁業 72 796 70 763 2 33
非農林漁業 15,283 172,066 14,975 162,105 308 9,961
非農林漁業(公務を除く) 15,195 167,879 14,975 162,105 220 5,774
 鉱業,採石業,砂利採取業 1 7 1 7 - -
 建設業 1,774 15,047 1,774 15,047 - -
 製造業 785 20,347 785 20,347 - -
 電気・ガス・熱供給・水道業 26 428 22 254 4 174
 情報通信業 137 2,281 137 2,281 - -
  うち情報通信業(通信業,放送業,
  映像・音声・文字情報制作業)
46 463 46 463 - -
  うち情報通信業(情報サービス業,
  インターネット附随サービス業)
91 1,818 91 1,818 - -
 運輸業,郵便業 372 9,348 372 9,348 - -
 卸売業,小売業 3,778 36,534 3,778 36,534 - -
 金融業,保険業 348 4,405 348 4,405 - -
 不動産業,物品賃貸業 1,318 4,646 1,315 4,614 3 32
 学術研究,専門・技術サービス業 827 6,455 815 5,854 12 601
 宿泊業,飲食サービス業 1,459 12,566 1,457 12,556 2 10
  うち宿泊業 129 1,873 129 1,873 - -
  うち飲食店,
  持ち帰り・配達飲食サービス業
1,330 10,693 1,328 10,683 2 10
 生活関連サービス業,娯楽業 1,311 6,116 1,302 6,044 9 72
 教育,学習支援業 593 8,648 448 4,872 145 3,776
 医療,福祉 1,255 22,008 1,221 21,012 34 996
 複合サービス事業 77 1,414 77 1,414 - -
 サービス業(他に分類されないもの) 1,134 17,629 1,123 17,516 11 113
 公務(他に分類されるものを除く) 88 4,187 - - 88 4,187
出典:令和3年経済センサス-活動調査(政府統計ポータルサイト)

 売上額に関しては不明の部分が多いため、事業所数と従業者数を中心に検討を加える。2021(令和3)年の経済センサスによると、郡山市の総事業所数は15,355、従業員数は172,862人に達する(いずれも公務を含む)。このうちサービス業に関する事業所数は8,571、従業員数は95,278人で(いずれも公務を含む)、郡山市の産業界の過半数を占めている。サービス業が郡山経済の中心的役割を果たしていると言っても過言ではない。なお、「公務」に関しては、他の産業と性格が大きく異なるため、以下の分析においては除外する。

 産業大分類別にみると、事業所数が1,000を超えているのは「不動産業、物品賃貸業」「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」「医療、福祉」「サービス業(他に分類されないもの)」で、従業員数では最も多いのが「医療、福祉」で22,008人、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」の17,629人、「宿泊業、飲食サービス業」の12,566人、「運輸業、郵便業」の9,348人、「教育、学習支援業」の8,648人、「学術研究、専門・技術サービス業」の6,455人となっている。単純に平均すれば1事業所当たりの平均従業者数は11人程度であり、小零細企業が中心となっていることがわかる。

 次に、郡山市のサービス業が本冊の対象期間である2012(平成24)年から2021(令和3)年までに、どのように変化したのかを見る(表2)。


表2 郡山市における産業別事業所数・従業者数の推移

 データがそろっている民営事業所について10年間の変化をみると、事業所数が8,500から8,267へ減少する一方、従業者数が79,169人から85,511人へと約6千人増加している。この中で特に増加が著しかったのは「医療、福祉」で、同期間に約5千人の増加を示している。また、「その他のサービス業」が2千人以上、「学術研究、専門・技術サービス業」も1千人以上の増加となっている。これらの業種が従業員数増加の中心となっていると言える。これに対し、「宿泊業、飲食サービス業」は2千人弱の減少、「生活関連サービス業、娯楽業」は約1千人従業員数を減少させている。この10年間に郡山市の産業構造が大きく変化していることがうかがわれる。

 以下では、従業員数の変化が大きい業種に関して、産業中分類レベルで検討することにしたい。表3は「医療、福祉」「サービス業(他に分類されないもの)」「学術研究、専門・技術サービス業」の中分類別、事業所数・従業者数の変化を示したものである(民営事業所に限る)。なお、中分類には「格付け不能」などに区分される事業所があるため、その合計は必ずしも大分類の数字と一致しない

表3 2012-21年に従業員数が増加した業種の中分類別動向
2021(令和3)年 2012(平成24)年
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
医療、福祉 医療業 677 12,271 672 11,109
保健衛生 8 126 8 193
社会保険・社会福祉・介護事業 535 8,597 313 4,879
サービス業
(他に分類されないもの)
廃棄物処理業 101 1,006 96 870
自動車整備業 196 1,186 232 1,415
機械等修理業(別掲を除く) 138 636 149 820
職業紹介・労働者派遣業 91 6,922 73 3,441
その他の事業サービス業 281 6,626 244 7,132
その他のサービス業 5 41
学術研究、
専門・技術サービス業
学術・開発研究機関 10 399 6 133
専門サービス業(他に分類されないもの) 392 2,586 323 1,704
広告業 51 531 52 489
技術サービス業(他に分類できないもの) 362 2,338 341 2,039
資料:「経済センサス」により作成。

 「医療、福祉」では、「医療業」と「社会保険、社会福祉、介護事業」で事業所数・従業者数ともに増加しているが、特に増加が著しいのが「社会保険・社会福祉・介護事業」で、事業所数で222、従業者数で3,718人の増加となっている。「医療、福祉」では、増加の大部分がこの中分類項目の増加となっている。高齢化にともない、介護関係の事業が急速に拡大していることがうかがわれる。次に「その他のサービス業」についてみると、増加している項目と減少している項目が入り混じっている。増加している項目としては、「廃棄物処理業」(事業所5、従業者数136人増加)、「職業紹介・労働者派遣業」(事業所18、従業者数3,481人増加)、「その他の事業サービス業」(事業所数42増加、従業者数465人減少)がある。これに対し、減少している項目としては、「自動車整備業」(事業所数36、従業者数229人減少)、「機械等修理業」(事業所数11、従業者数184人減少)がある。雇用形態の変化を反映して、労働者派遣業の成長が著しいものになっている。最後に「学術研究、専門・技術サービス業」では、すべての中分類業種で従業者数が増加している。従業者数の増加が最も大きいのは「専門サービス業」(事業所数69、従業者数882人増加)で、次いで「技術サービス業」(事業所数21、従業者数299人増加)、「学術・研究開発機関」(事業所数4、従業者数266人増加)、「広告業」(事業所数1減少、従業者数42人増加)となっている。最も増加が大きい「専門サービス業」は、法務・財務・会計などの専門的サービスを行う事業所が含まれており、これらの増加は郡山市の経済の発展を背景にしたものと考えられる。

 一方、この10年間で従業者数が減少している業種も存在する。2012(平成24)年~2021(令和3)年に従業員数が減少した大分類業種は「宿泊業、飲食サービス」「生活関連サービス業、娯楽業」「運輸業、郵便業」「金融業、保険業」の4業種に上る。これらを中分類で示したものが表4である。表4も表3と同様、民営事業所のみを対象としている。また、格付け不能の事業所も存在しているため、その総和は大分類の事業所数等とは一致しない。

表4 2012-21年に従業員数が減少した業種の中分類別動向
2021(令和3)年 2012(平成24)年
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
宿泊業、飲食サービス業 宿泊業 129 1,873 150 2,395
飲食店 1,185 8,590 1,452 10,280
持ち帰り・配達飲食サービス業 142 2,090 127 1,731
生活関連サービス業、娯楽業 洗濯・理容・美容・浴場業 1,017 2,980 1,158 3,756
その他の生活関連サービス業 155 1,411 166 1,500
娯楽業 130 1,653 128 1,866
運輸業、郵便業 鉄道業 11 714 17 999
道路旅客運送業 39 1,357 43 1,810
道路貨物運送業 261 6,278 226 5,563
水運業 - - - -
航空運輸業 - - 1 3
倉庫業 19 218 22 206
運輸に附帯するサービス業 40 398 36 608
郵便業(信書便事業を含む) 2 383 13 900
金融業、保険業 銀行業 63 1,068 71 1,290
協同組織金融業 32 420 30 416
貸金業、

クレジットカード業等非預金信用機関

19 164 27 246
金融商品取引業、商品先物取引業 8 91 11 115
補助的金融業等 8 23 5 18
保険業

(保険媒介代理業、保険サービス業を含む)

218 2,639 218 2,527
資料:「経済センサス」により作成。

 従業員数の減少が最も大きい「宿泊業,飲食サービス」では「持ち帰り・配達飲食サービス業」が事業所数・従業者数共に増加(事業所数15、従業者数359人増加)しているものの、飲食店(事業所数267、従業者数1,690人減少)と「宿泊業」(事業所数21、従業者数522人減少)は縮小している。特に飲食店の減少は著しい。これは後述するコロナ禍の影響などが大きかったためと考えられる。次いで減少幅が大きいのは「生活関連サービス業,娯楽業」である。これに含まれる中分類業種はすべて従業員数が減少している。最も従業者数の減少が大きいのは「洗濯・理容・美容・浴場業」で事業所数が141、従業者数が776人の減少、次いで「娯楽業」の事業所数が2増加、従業者数が213人減少、「その他の生活関連サービス業」が、事業所が11、従業員数が89人減少している。この内容について検討するため、厚生労働省の「衛生行政報告例」から郡山市の施設数をまとめたものが表5である。

表5 郡山市の公衆浴場数、理容室数、美容室数、クリーニング施設の推移
公衆浴場数 理容室数 美容室数 クリーニング施設数
2012(平成24)年 75 424 674 275
2013(平成25)年 76 424 679 270
2014(平成26)年 73 416 697 254
2015(平成27)年 73 415 714 228
2016(平成28)年 71 397 711 221
2017(平成29)年 71 401 734 221
2018(平成30)年 69 400 746 205
2019(令和元)年 68 398 752 207
2020(令和2)年 65 403 762 204
2021(令和3)年 64 405 776 207
資料:「厚生労働省 衛生行政報告例」による

 厚生労働省資料は事業所数そのものを示すものではないため、両者の値は一致しないが、厚生労働省資料からは公衆浴場数、理容室数、クリーニング施設数が減少している一方で美容室が増加していることがわかる。

 「運輸業、郵便業」では、「道路貨物運送業」「倉庫業」では従業員数が増加しているものの、その他の業種では減少している。「道路貨物運送業」は事業所数が35、従業員数が715人増加、倉庫業では事業所は3減少している一方で従業者数は12人増加している。逆に「鉄道業」は事業所が6、従業員数が285人減少している。また、道路旅客運送業では事業所数が4、従業員数は453人減少している。貨物輸送が拡大する一方、人の輸送は縮小しつつあると言える。また、郵便業は事業所数が13から2へ、従業員数が900人から383人へと大幅な減少を示している。インターネットを利用したメールの拡大により、郵便の需要は急速に縮小しつつあり、郵便事業が衰退していることがうかがわれる。「金融業、保険業」では「協同組織金融業」と「補助的金融業等」「保険業」が従業員数を増加させている。ただし、「協同組織金融業」と「補助的金融業等」の増加はごくわずかにとどまっており、「保険業」が増加の中心となっている。保険業では事業所数が変化しないまま従業員数を112人増加させており、若干ではあるものの規模の拡大が行われている。一方、「銀行業」は事業所数が8、従業員数が222人減少している。また、貸金業等は事業所数が8、従業員数が82人減少している。この背景としてコロナ禍にともなう各種の補助事業等の影響も考えられるが、これだけでは判断できない。詳細な分析は本冊の関連部分の記載に譲りたい。

 次に、業種別・従業員規模別事業所数・従業員数を表6に示した。

表6 郡山市におけるサービス業の業種別・規模別事業所数・従業員数(2021(令和3)年)
G_情報通信業 H_運輸業,郵便業 J_金融業,保険業 K_不動産業,物品賃貸業 L_学術研究,専門・技術サービス業 M_宿泊業,飲食サービス業
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
総数 137 2,281 372 9,348 348 4,405 1,318 4,646 827 6,455 1,459 12,566
0人 25 39 24 42 37 68 744 1,251 211 305 370 647
1~4人 53 184 68 195 107 339 400 1,162 383 1,188 490 1,712
5~9人 16 124 67 532 74 544 106 766 116 940 287 2,161
10~19人 18 250 69 1,043 63 827 42 566 63 911 186 2,672
20~29人 7 166 57 1,431 34 824 12 306 16 436 66 1,613
30~49人 8 271 51 1,969 18 685 11 382 18 743 36 1,424
50~99人 7 527 23 1,586 13 902 3 213 12 813 18 1,232
100~199人 1 152 9 1,061 2 216 - - 7 872 5 662
200~299人 1 260 2 532 - - - - 1 247 1 443
300人以上 1 308 2 957 - - - - - - - -
N_生活関連サービス業,娯楽業 O_教育,学習支援業 P_医療,福祉 Q_複合サービス事業 R_サービス業(他に分類されないもの) 合計
事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数 事業所数 従業者数
総数 1,311 6,116 593 8,648 1,255 22,008 77 1,414 1,134 17,629 8,831 95,516
0人 599 768 169 219 173 233 2 5 216 324 2,570 3,901
1~4人 482 1,346 165 526 347 1,232 28 95 494 1,611 3,017 9,590
5~9人 101 724 73 574 313 2,403 26 156 164 1,321 1,343 10,245
10~19人 69 1,051 61 902 228 3,392 11 135 112 1,566 922 13,315
20~29人 34 811 37 907 82 1,941 8 189 37 911 390 9,535
30~49人 20 737 51 1,881 53 2,092 - - 39 1,523 305 11,707
50~99人 4 347 27 1,810 33 2,192 - - 36 2,609 176 12,231
100~199人 1 111 7 941 13 1,783 1 159 17 2,399 63 8,356
200~299人 1 221 2 537 7 1,687 - - 14 3,513 29 7,440
300人以上 - - 1 351 6 5,053 1 675 5 1,852 16 9,196
資料:「経済センサス」による

 事業所の比率で見ると、雇用者なしの事業所が29%、雇用者1~4人の事業所が34%を占め、両者で6割を超える。さらに5~9人が15%、10~19人が11%、20~29人が4%で、小零細事業所が大部分を占めている。これを従業員数の比率で見ると、雇用者なしの事業所が4%、雇用者1~4人の事業所が10%、さらに5~9人が11%と、10人未満で4分の1を占める。さらに10~19人が14%、20~29人が10%、30~49人が12%、50~99人が13%となっており、29人以下で従業者数のほぼ半数、99人以下で4分の3を占める。一方、100~199人が9%、200~299人が8%、300人以上が9%で約4分の1を占める。

 大分類業種ごとに従業員数が最も多い階層を見ると、「情報通信業」は50~99人、「運輸業、郵便業」は30~49人、「金融業、保険業」が50~99人、「不動産業、物品賃貸業」が0人、「学術研究、専門・技術サービス業」が1~4人、「宿泊業、飲食サービス業」が10~19人、「生活関連サービス業、娯楽業」が1~4人、「教育、学習支援業」が30~49人、「医療、福祉」が300人以上、「複合サービス事業」が300人以上、「その他のサービス業」が200~299人となっている。業種により事業所の従業員規模が大きく異なっている。「サービス業」とひとくくりにするのではなく、業種ごとに分析を加えることが必要であろう。

 最後に、コロナ禍の影響についても触れたい。表7に郡山商工会議所が2021(令和3)年に実施した調査結果を示した。

表7 コロナ禍が郡山市のサービス業に与えた影響  (単位:%)
2019(令和元)年同月と比べて
増加 変化
なし
~3割減 ~5割減 ~7割減 7割以上減
飲食業 2021(令和3)年9月売上 5 6 30 22 13 24
2021(令和3)年11月売上 5 25 48 16 2 5
2022(令和4)年3月見通し 3 25 51 16 3 2
生活関連サービス業 2021(令和3)年9月売上 17 31 31 9 0 12
2021(令和3)年11月売上 17 29 35 8 6 5
2022(令和4)年3月見通し 20 35 26 14 0 5
観光関連サービス業 2021(令和3)年9月売上 0 0 23 27 0 50
2021(令和3)年11月売上 0 5 45 9 14 27
2022(令和4)年3月見通し 0 18 27 9 14 32
IT関連サービス業 2021(令和3)年9月売上 20 20 37 20 3 0
2021(令和3)年11月売上 30 27 37 7 0 0
2022(令和4)年3月見通し 7 43 37 10 3 0
その他サービス業 2021(令和3)年9月売上 21 36 26 9 4 5
2021(令和3)年11月売上 19 37 27 10 4 4
2022(令和4)年3月見通し 16 42 27 9 2 4
資料:郡山商工会議所 2021(令和3)年度 経営実態アンケート調査による

 コロナ禍の影響を最も大きく受けたのが「観光関連サービス業」である。特に2021(令和3)年9月にはコロナ禍前に比較して半数の事業所が売上高を7割以上落としている。同年11月にはやや改善がみられるものの、2022(令和4)年3月の見通しは再び悪化している。次いで影響が大きいのが「飲食業」である。2021(令和3)年9月には約4分の1の事業所が売上高を7割以上落としていたが、同年11月には5%にまで減少し、売上高3割以内の減少となっている事業所が多い。打撃は大きかったものの、回復のスピードも速いと言えよう。

 これに対し、「生活関連サービス業」「IT関連サービス業」「その他のサービス業」では、コロナ禍の中でも比較的好調を維持している事業所が多い。「生活関連サービス業」は前述の通り、公衆浴場、理容・美容、クリーニングや各種の娯楽業などが含まれる業種である。清潔さを維持することが求められる中で比較的好調さを維持できたものと考えられる。「IT関連サービス業」はコロナ禍の中で大きく需要を伸ばした。インターネット回線を通じたオンライン会議などが急激に拡大し、新たな需要が生まれた。また、学校の授業もWeb上で行われるような場面もあり、実際に対面しない、オンライン上での会合が急激に拡大した。「IT関連サービス業」は、コロナ禍が新たなビジネスチャンスを生み出した側面もあると言えよう。「その他サービス業」には、廃棄物処理業や労働者派遣業などが含まれる。これらの業種はコロナ禍が直接影響を与えるものではなく、成長の背景は明らかではない。今後検討する必要がある。

 このようにしてみると、コロナ禍の影響も業種により大きく異なっていることがわかる。「観光関連サービス業」や「飲食業」が大きな影響を受ける一方、影響をあまり受けない、あるいはそれをチャンスとしているサービス業も存在している。業種ごとの詳細な調査と分析を進める必要がある。なお、「観光業」に関しては、次節で再度取り上げる。

 以上、2010年代を中心に郡山市のサービス業の動向を分析した。この期間には東日本大震災とコロナ禍があったことに加え、地域の産業構造そのものが変化している。そのため、かつての中心的産業が縮小する一方で新しい産業が成長しつつあることが認められる。これらの変化を今後も注視していくことが必要である。