(2) 歳出の状況

 次に、歳出面から郡山市財政の支出の特徴を確認する。表3は、経済的性質で分類した性質別歳出である。性質別歳出は経常的経費と投資的経費に分けられる。経常的経費は毎年度経常的に支出される経費であり、投資的経費は、道路や学校などのインフラや公共施設などの建設や改修に要する経費である。表3から、二つの特徴が挙げられる。

 第一に、投資的経費の増加である。2010(平成22)年度と比べると1.8〜4.2倍増加している。特に災害復旧事業費が大幅に増額している。災害復旧事業費は、被災した公共施設やインフラを復旧するために要する経費である。東日本大震災による地震の被害は甚大であった。その後に続いた台風15号や、台風19号、福島県沖地震でも公共施設やインフラに被害が及んだ。普通建設事業費には、インフラや公共施設の新設や改修にかかった費用が計上されている。

 第二に、経常的経費についても2010(平成22)年度と比べて1.1〜1.5倍増加している。物件費と補助費等に大きな変化がみられる。物件費とは、物品やサービスの購入にかかる経費で、民間等への委託料が含まれる。物件費の増加は主に除染によるものである。補助費等の増加は、新型コロナウイルス感染症対策によるものである。2020(令和2)年4月に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に基づき、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策経費として、国民1人当たり10万円の特別定額給付金が支給された。


表3 郡山市における性買別歳出の推移 (単位:億円)
出所:各年度の総務省「市町村別決算状況調」から筆者作成