(3) 新型コロナウイルス感染症対策

 2019(令和元)年12月に中国で初めて感染者が確認された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に全世界に拡大した。2020(令和2)年3月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律」が公布・施行された。新型コロナウイルス感染症を感染症法において新型インフルエンザ等の感染症と位置付けて、事業者や地方公共団体に対する財政上の措置が講じられることとなった。

 市町村に対する主要な財政措置が、特別定額給付金給付事業・事務費補助金及び、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金である。特別定額給付金給付事業・事務費補助金は、前述したように国民1人当たり10万円の定額給付金を給付する事業である。

 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活を支援して地方創生をはかるために、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるように創設されたものである。市町村が事業実施計画を作成し、人口や感染状況等に基づいて算定された限度額の範囲内で概算交付される。この交付金は地方自治体にとって自由度が高く、ハード事業のみならずソフト事業も対象となり、単独事業にも充当することができる。

 表7は、2020(令和2)年度から2022(令和4)年度までの間に、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を用いて実施された事業を項目別に整理したものである。保健福祉、教育・文化、産業観光への充当額が高い。それぞれの主要事業は次のとおりである。保健福祉の分野では、新生児一人当たり10万円の給付金、妊産婦に対して10万円、生活貧困世帯1世帯当たり1万円の支援金を給付する事業が挙げられる。教育・文化では、学校給食費の1/2補助、学校における感染症対策費が主に行われた。産業・観光では、中小企業の信用保証料補助や、減収した中小企業の固定費等補助がなされた。

表7 郡山市における新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金事業  (単位:百万円)
2020年 2021年 2022年 主な事業
保健福祉 1,055 427 2,119 子育て応援給付金給付事業費、妊娠出産子育て支援交付金、
物価高騰対応生活困窮世帯緊急支援事業費
教育・文化 1,031 1,024 1,107 学校給食費軽減事業、学校保健特別対策事業費補助金
産業観光 838 1,507 274 中小企業融資制度事業、中小企業等支援事業
建設交通 203 104 78 生活路線バス運行継続支援事業
その他 776 159 178 無線システム普及支援事業費等補助金
合計 3,902 3,221 3,756 -
出所:郡山市提供の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金実施状況及び効果検証に関する資料から筆者作成
(注)「保健福祉」は保健福祉部及びこども部の事業費、「教育・文化」は教育総務部、学校教育部、文化スポーツ部の事業費を合わせた経費、「産業観光」は産業観光部の事業費、「建設交通」は建設交通及び建設部の事業費を合わせた経費である。