(1) 地方創生推進交付金

 人口減少に歯止めをかけ、東京への人口集中を是正することを目的に2014(平成26)年11月に「まち・ひと・しごと創生法」が成立した。同法に基づき同年12月に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」は、地方自治体に対して、中長期を見通した「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」の策定を求めるものであった。2019(令和元)年12月には第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、地方自治体においても次期総合戦略を策定することとなった。

 郡山市では、人口減少社会を見据えた取り組みについて全庁的に協議する「郡山市まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」が2015(平成27)年1月に設置され、2015(平成27)年12月に「郡山市人口ビジョン」及び「郡山市総合戦略」が策定された。2020(令和2)年3月には「郡山市総合戦略(2020改訂版)」が作られた。

 当初の中核市の人口規模基準が30万人であったことを考慮し、郡山市の目標将来人口は30万人程度とされた。改訂版の総合戦略の基本目標には次の六つが掲げられた。「デジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した生産性の向上と魅力ある雇用環境の創出」「地域の魅力発信と『関係人口』の創出」「切れ目無い子育て支援と女性・子育て世代の活躍推進」「住民・企業が集う気候変動対応型まちづくりの推進」「あらゆる世代が居場所と役割を持ち生きいきと暮らせるまちづくり」「教育の質の向上と誰もが楽しく学べる環境づくり」である。就業機会の創出や、人材の定着・環流の推進、子育て支援、災害・地球温暖化対策、生活支援、教育に重点的に取り組むこととされた。

 国から交付される地方創生関連の交付金の中で、代表的なものが地方創生推進交付金である。対象事業は、先駆性のある取り組みや、移住支援・新規就業支援である。対象事業の補助率は2分の1であるものの、残りの2分の1は地方交付税措置されるため、地方負担はほとんどない。

 郡山市では、上記六つの基本目標に則して地方創生関連の事業が計画・実施されてきた。2018(平成30)年度から2021(令和3)年度までに地方創生推進交付金を充当した事業総額は1億7,900万円である。六つのソフト事業が行われ、中でも「若者の定着・還流しごとづくりプロジェクト」の事業支出の比重が高い。産業イノベーションを促すための産学金官連携などの事業や、創業支援事業、多様な働き方支援事業など、従来型の中小企業支援の枠を超えた先駆的な事業が多数含まれている。その他にも、「地域資源を活用したふくしま型農林業ひと・しごとづくりプロジェクト」という、農福連携モデル構築や、こおりやま農産物ブランド向上推進事業などのユニークな事業も行われている。

 郡山市総合戦略の取り組みの評価・検証は、「郡山市まち・ひと・しごと創生総合戦略有識者懇談会」において行われている。それらをもとに、改定の時期に事業見直しが図られることとなっている。