新規学卒者の動向をみることとする。2012(平成24)年に郡山市内の高校を卒業した人は3,584人で、2021(令和3)年には3,287人へと1割近く減少した。そのうちの就職者は625人から535人へと約15%減少した。18歳人口が減少するなかで、大学・専修学校等への進学率、特に大学への進学率が若干だが上昇し続けていることの裏返しでもある。それでも、2021(令和3)年の段階で高校卒業者の約42%が、専修学校、就職、大学浪人も含みはするが無業・その他という進路を選んでいる。
その前年である2020(令和2)年3月の市内高校卒業者3,426人のうち、就職者は19.4%の663人であったと「学校基本調査」は記録する。そこで図9による2020(令和2)年の高卒就職者663人を分母として「市町村別・状況別卒業者数」による県内に就職した人525人を分子としておおよその地元就職率を類推すると約8割弱である。分子は県内の就職であって「市内」ではないものの、地元就職の厚さがうかがわれる(福島県統計課(2021)『令和2年度学校基本統計(学校基本調査報告書)』P120、第69表<https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/11045b/r2gakkoukihonzenbun.html>参照2024年9月6日)。
厚生労働省福島労働局のまとめによると、この間の高卒者に対する求人倍率も内定率も高く推移している。生産年齢人口の減少傾向と中小企業を中心とする構造的な人手不足、そして一定の景気回復という事情が反映されている。

表2 高等学校卒業者の求人・求職状況の推移
出所:厚生労働省福島労働局(2021年4月30日)『令和3年3月新規高等学校卒業者の職業紹介状況(令和3年3月末現在)』(図1)、(別表1)<https://jsite.mhlw.go.jp/fukushima-roudoukyoku/newpage_00666.html>参照2024年9月6日)
同じく福島労働局のまとめる「新規学校卒業者初任給(福島県)」によると、2022(令和4)年3月の初任給水準は次の通りである。郡山市に留まらない県全体のデータであるが、大卒男性の産業平均が21万円、女性のそれが20万6,000円で、それぞれ全国平均よりやや低い水準である(毎月決まって支給する給与額)(厚生労働省福島労働局『新規学卒者の初任給情報』(令和4年3月新規学校卒業者初任給(福島県))<https://jsite.mhlw.go.jp/fukushima-roudoukyoku/jirei_toukei/koyou_toukei/sinkigakusotusya.html>参照2024年9月6日)。