(3) 現金給与額の水準

 「郡山市労働基本調査」から、郡山市に働く労働者の1ヵ月の平均所定内給与をみる。これは3年に一度の調査で、調査対象が1,000事業所、回収率は約50%であり、これをもとにそれほど多くのことを語ることができるわけではないが、それでも示唆的である。

 この調査で得られるのは2014(平成26)年、2017(平成29)年、2020(令和2)年の数値である。


図11 1ヵ月の平均所定内賃金
※数値は全回答(数値回答)の平均値

※2014年は9月の数値、2017年、2020年は直近1ヵ月の数値
出所:『2020(令和2)年度 郡山市労働基本調査結果報告書』
   郡山市政策開発部産業雇用政策課から作成

 「全体」の横棒グラフにおいてまず目を惹くのは調査の三時点において平均所定内給与額はほとんど増えていないこと、2017(平成29)年と2020(令和2)年の間ではコロナ禍の影響もあって減少しさえしていることである。この間の若干の物価上昇率を考慮しても、実質賃金はむしろはっきりと低下している。

 また、郡山市に限ったことではないが、性別の賃金格差ははっきりと確認できる。2014(平成26)年に女性の平均賃金は男性のそれの71.6%であった。2020(令和2)年のその比率は74.8%である。

 産業別、企業規模別の給与格差は全国傾向同様にみられるものの、郡山市においてはそれほどには格差は開いていない。調査サンプルがそれほど多くないことと、金融・保険業、不動産業、情報通信業などといった業種、100人以上の比較的規模大きい企業にありうる優位性がそれほど大きくないことによるだろう。