(7) 労働災害と補償

 郡山労働基準監督署のまとめによれば、労働災害発生状況はこの十数年で図17のような推移を示している。ここに取り上げられるものは死亡と4日以上の休業を要した労働災害の件数であるため、それほど重篤ではないものも数多く含んでいる図18の「件数」よりは少ないのは当然である。その内訳は掲げないが、産業としては製造業、建設業、運輸交通業に多いことは伝統的な特徴である。とはいえ、ホワイトカラーの労災、近年では労災認定が進んでいる心臓疾患や精神疾患など多様な労災をも含んでいる「その他の事業」が、発生産業の分類としてはもっとも多くのケースを抱えている。

 一般的には多忙と人員不足からくる過密で長時間の労働が労災の発生件数を増やすということができる。その意味では震災後10年弱の間は年間300件台から400件台であったものが、2021(令和3)年度に目に見えて増加していることが注目される。


図17 労働災害発生状況
出所:『郡山市統計書』郡山市政策開発部政策統計課から作成

 より軽微な労働災害を含んだ発生件数と労働災害補償費の支払い状況は図18に示される。なお、元表に含まれていた2013(平成25)年以前の数値は「診療費を含まない件数及び金額」で記録されており、それ以後の数値と接続しないので省いてある。

 ここでも、コロナ禍のあった2019(令和元)年や2020(令和2)年にやや減少をみせていた件数・額が、2021(令和3)年に明瞭に増加していることがわかる。


図18 労働災害の件数と労働災害補償費の支払状況の推移
出所:『郡山市統計書』郡山市政策開発部政策統計課から作成