(1) 開所までの経過

 福島県は医療機器関連産業の集積を東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興の柱として位置付け、2012(平成24)年、「県医療機器開発センター(仮称)」設置の方針を打ち出した。政府の福島復興再生基本方針に基づき、同年8月には整備構想がまとまり、2013(平成25)年度政府予算に134億円の「県医療機器開発・安全性評価センター(仮称)」整備事業費交付が盛り込まれた。県は同年12月、郡山市富田町の県農業試験場跡地にセンターを建設すると決定した。

 2013(平成25)年6月にはセンターの運営母体となる「一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構」が発足した。初代理事長に防衛医大名誉教授で財団法人医療機器センター(東京)理事長の菊地真(きくち・まこと)が就いた。当初は福島市の福島県庁内に事務所を置いたが、2014(平成26)年4月、郡山市中町に移転して開所準備を進めた。施設の正式名称は2015(平成27)年6月、「ふくしま医療機器開発支援センター」に決定した。

 2016(平成28)年、5万2,740平方メートルの敷地に一部3階建ての1万1,529平方メートルの施設が完成、11月に開所した。医療機器の開発から事業化までを一体的に支援する国内初の施設で、「安全性評価」「人材育成・訓練」「コンサルティング・情報発信」「マッチング」の四つの機能を持つ。国際的な基準・規格に対応した安全性評価や、大型動物(ブタ)を用いた生体試験などができる。模擬手術室などを備え、医療に従事する人材の育成や、企業間のマッチングなどの役割も担う。運営は、指定管理者としてふくしま医療機器産業推進機構が担い、初代センター長には機構専務理事の滝沢真己(たきざわ・まき)が就いた。