(2) 医療関連産業の集積

 福島県の医療機器関連産業集積の施策が実り、2011(平成23)年度には50社だった県内の医療機器製造業者数は2015(平成27)年度には71社に増えた。さらに、ふくしま医療機器開発支援センターの開所が追い風となり、2016(平成28)年度には74社になっている。センターのお膝元の郡山市では、2015(平成27)年4月、医療機器製造・販売のニチオン(本社・千葉県船橋市)が郡山中央工業団地に新工場「テクニカルデベロップメントセンター」を開設した。内視鏡手術用の鉗子(かんし)の生産拠点になっている。医療・福祉用ロボットスーツを開発するサイバーダイン(本社・茨城県つくば市)は郡山市横塚に「次世代型多目的ロボット化生産拠点」を設けた。県の「福島医療福祉機器実証・事業化支援事業」の補助を受け、2016(平成28)年8月に竣工、稼働している。

 金型生産を主力とする郡山市のものづくり企業ケイ・エス・エムは2016(平成28)年、医療機器開発分野に参入した。2021(令和3)年6月には内視鏡検査用の飛沫(ひまつ)防止付きマウスピースが自社開発製品として初めて一般医療機器の認可を受けた。センターが企画した医師らとの意見交換が開発のきっかけとなった。マウスピースは、検査時に患者が装着することで医療従事者の新型コロナウイルス感染リスク低減につながる。