(4) 甘かった経営見通し

 「生物学的試験と物理学的試験が1ヵ所でできる国内初の施設」という利点からセンター活用への期待は高かったが、開所からわずか1年足らずで見通しの甘さが露呈した。本格運用初年度の2017(平成29)年度、医療機器の評価試験などによる収入が9月現在で約1,600万円と、県が想定した2億8,000万円のわずか6%にしかならなかった。県は運営費の不足分を補うため、補正予算で機構への委託料を約3億1,800万円増額し、年間委託料は当初予算2倍以上の約6億150万円になった。

 収入伸び悩みの要因として県は、1.施設機能の優位性を過大評価、2.センターの信頼性を高める国際認証取得の遅れ-の2点を挙げ、経営改善計画策定に向けて専門家会議を設けた。医療機関や医療機器メーカーの関係者、公認会計士らが対策を検討し、国際認証の早期取得、営業担当部署の新設、新規利用料の割引制度導入などの計画をまとめたが、2017(平成29)年度の事業収入は結局、4,200万円にとどまった。

 2018(平成30)年度以降、徐々に収入は伸びているが、一度も目標に達していない。2018(平成30)年度は1億3,000万円、2019(令和元)年度は1億6,000万円。2020(令和2)年度には初めて2億円を若干上回ったが、2021(令和3)年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて伸び悩み1億5,082万円だった。

 2021(令和3)年にはセンター長に、民間の大手医療機器メーカーから小林利彰(こばやし・としあき)を迎えた。収益改善に向けて小林は「徹底した顧客満足度の向上」を掲げる。充実した設備を生かす発信力がカギとなる。