2015(平成27)年2月、三菱商事復興支援財団は郡山市と農業振興に関する連携協定を結んだ。福島県の農業再生を後押しするため、郡山市逢瀬町の9,000平方メートルの市有地にワインなど果実酒の醸造所を設ける計画が動き出した。
三菱商事は東日本大震災、東京電力福島第一原発事故発生直後から避難所での支援活動を開始し、2012(平成24)年に復興支援財団を設立した。被災した学生への奨学金支給、南相馬市のソーラー・アグリパーク建設支援などを展開してきた。風評被害が続く福島の農業復興のために、全国的に知名度が高い「福島の果物」に着目した。交通の要所である郡山市にワイナリーを建設し、観光客を受け入れながら「郡山ワイン」を発信する構想を打ち出した。
協定締結式を東京の三菱商事ビルで行い、市長・品川萬里(しながわ・まさと)と三菱商事復興支援財団代表理事・野島嘉之(のじま・よしゆき)が協定書に署名した。「復興支援のこれから~6次化産業プロジェクトの可能性」と題した意見交換会も開かれた。
2015(平成27)年5月19日、醸造施設の地鎮祭が行われた。財団が10億円をかけ、鉄骨平屋、延べ床面積1,400平方メートルの施設が10月に完成した。10月27日に行われた竣工式の席上、正式名称「ふくしま逢瀬ワイナリー」が公表された。新たに設立された一般社団法人が運営に当たっている。財団は10年をめどに法人の運営を地元の人たちに引き継ぐ。