コイ養殖事業を震災前の水準まで復活させるために、郡山市は2015(平成27)年、農林部園芸畜産振興課に鯉係を新設した。県南鯉養殖漁業協同組合と手を携え、キリングループの「復興応援 キリン絆プロジェクト」から1,000万円の支援金を受け、「鯉に恋する郡山」プロジェクトをスタートさせた。新しい加工法や調理方法の開発、消費拡大策を継続している。
2016(平成28)年には、海に面していない国土の特性からコイを食することの多いハンガリーの駐日大使や大使館のシェフらを招いてコイ料理講習会を開催した。市内の料理人ら約30人が参加した。日本の伝統的なコイ料理とは全く違うスープ料理やパン粉揚げ、カッテージチーズを使ったパスタなどのハンガリー料理に取り組み、新たな可能性を探った。2017(平成29)年には市内の飲食店が独自のコイ料理を提供する鯉食キャンペーンを始めた。毎年継続され、初回には飲食店のみの14だった参加店は、2021(令和3)年には宿泊施設や販売店、スーパーマーケットを含む87店まで増えた。時代を反映しSNSの画像投稿キャンペーンも展開された。期間限定のメニューからレギュラー商品に昇格し、郡山の新しい名物として定着した料理も多い。震災後休止していた学校給食でのコイ料理提供は2017(平成29)年に再開し、2020(令和2)年には市内の公立小中学校全校で提供された。
コイの生産量は2015(平成27)年に895tまで回復し、その後微減とはなっているが、2020(令和2)年は812t、2021(令和3)年は740tとなっており、市町村別では全国一を誇っている。