(1) グループ補助金の活用

 国は東日本大震災で被災した中小事業者の復旧を支援するために「グループ補助金」の制度を創設した。設備や施設の復旧費用の2分の1を国、4分の1を都道府県が補助する。複数の事業者がグループをつくって復興事業計画を作成、都道府県が認定すれば、事業者は個別に補助金を受け取れる。福島県内は東京電力福島第一原発事故で避難を余儀なくされた影響で事業再開まで時間を要した企業が多かったが、2012(平成24)年度から補助金の活用が本格化した。県内では2014(平成26)年度までに317グループの事業が採択され、約1,044億円の交付が決定した。郡山市内では旅館やホテル、郡山食品工業団地の事業所、郡山トラックセンター、郡山テクノポリス、管工事業協同組合、中心市街地の商店街、住宅産業、料飲業などさまざまな業種や地域ごとに組織されたグループの復旧活動が認定された。自治体の枠を越え、同業者と広域的なグループを組織して採択された例もある。

 国、県の支援で復旧・復興が進む中、制度を悪用する企業も現れ、摘発が相次いだ。郡山市内に本社を置いた食品加工業者は施設の修繕費や設備購入費を水増しした報告書を県に提出、グループ補助金をだまし取ったとして社長が2017(平成29)年に詐欺容疑で逮捕され、有罪が確定している。