(5) グループ補助金の活用

 東日本大震災からの復興対策で創設された国の「グループ補助金」制度が再び本県復興の一助として活用された。台風19号直撃から10日あまり経過した2019(令和元)年10月24日、首相・安倍晋三は、衆院本会議で制度適用の検討を表明した。グループ補助金は2016(平成28)年の熊本地震、2018(平成30)年の西日本豪雨でも適用されている。

 2019(令和元)年11月7日には政府の非常災害対策本部会議で、台風15号、19号など一連の豪雨や暴風被害を受け、グループ補助金などを通じた中小事業者支援を柱とする被災者の生活と事業再建に向けた対策パッケージを決めた。グループ補助金は福島と宮城、栃木、長野の4県が対象となった。東日本大震災から復興途上にあって台風被害も受けた二重被災の事業者については、5億円を上限に全額補助し、負担なしで事業再建に取り組めるようにする内容だった。11月8日には2019(令和元)年度予算から1,316億円を充てる支出が閣議決定された。補助金の適用範囲に関しては、県と郡山市などの要望活動が実り、台風19号の後に本県を襲った10月25日の記録的大雨の被害も含まれるようになった。

 郡山商工会議所は国の動きに呼応し、会員事業所をはじめとする郡山市内の事業者再建にいち早く乗り出した。11月7日には被災者向け相談会を実施。12月6日にはグループ補助金など支援施策の説明会と個別相談会を開催した。同25日には補助金申請の書類作成説明会を開き、申請グループづくりを支援した。郡山商工会議所のまとめでは、台風19号とその後の10月25日大雨に関連して会議所の支援で組織した「郡山商工会議所復興グループ」には最終的に104社が参加し、補助申請額は71億6,836万円になった。市内ではこのほか、安積町、富久山町、田村町の3商工会のグループや会計事務所が協力したグループ、地域をまたいで業種でつながった企業グループなどができ、補助金の交付を受けた。

 商工会議所はグループ補助金申請の支援にとどまらず、非常時に備えるための事業所の事業継続計画(BCP)策定にも指導力を発揮した。会報にBCP作成の手引となる記事を連載し、セミナーも開催した。支援の動きは2020(令和2)年以降に待ち受ける新型コロナウイルス感染症や福島県沖地震への対応につながっていく。