我が国の現状として、2008(平成20)年に始まった人口減少は、今後加速度的に進むと考えられており、経済社会に対して大きな重荷となり、地方では、地域経済社会の維持が重大な局面を迎えると言われる。郡山市では、現況と課題を整理し、2040(令和22)年を目標年次とする人口の将来展望を示すとともに、これを実現するために郡山市が目指すべき方向性を示す『郡山市人口ビジョン』を2015(平成27)年に掲げた。さらに、2015(平成27)年度からの市の「まち・ひと・しごと創生」の目標や施策を示すものとして『郡山市総合戦略』がある。
第二次世界大戦後、増加を続けてきた本市の人口は合併の効果もあり、高度経済成長期にほぼ急増し、その後も増加を続けてきた。日本全国の人口は2008(平成20)年に減少に転じたが、本市の人口は2004(平成16)年にピークを迎えその後、減少に転じている(郡山市政策開発部政策開発課(2016)『郡山市人口ビジョン』)。人口減少時代へ突入し、今後一貫して人口が減少し続けると推計されている。郡山市は、中核市の人口規模基準が30万人だった平成9年に中核市に移行した。福島県の中核都市として各種都市機能の集積を進めてきた実績や都市文化の蓄積は総合力の高さという形で本市の魅力となっている(郡山市政策開発部政策開発課(2016)『郡山市人口ビジョン』)ことから、都市としての総合力を維持していくためには、当初の中核市の基準である30万人の規模を維持していくことが必要である。本市の現状は、若年層(特に20歳代女性)の転出が顕著であり、震災直後には急減した。震災後、転入超 過により緩やかに回復傾向にあるが若年女性の流出傾向に歯止めがかかっていない。2015(平成27)年現在の本市の人口は335,444人であり、合計特殊出生率は、1.49人である。2040(令和22)年以降も人口規模を30万人に保っていくことが望まれる。
目指すべき方向性が示された郡山市人口ビジョンは、2020(令和2)年に改訂され、郡山市総合戦略も同様に改訂されており、第2期(2020(令和2)~2024(令和6)年)における地方創生の目指すべき方向性が示された。郡山市総合戦略(2020改訂版)の基本的な考え方として基本目標の「持続可能な郡山の創生」を加速させ、「自律的好循環」を生み出すとした(郡山市政策開発部政策開発課(2020)『郡山市総合戦略(2020改訂版)』)。
人口減少社会における本市の使命として福島県の中枢的機能であり中核都市としての都市責任の遂行やSDGs未来都市としてSDGs 理念の普及、気候変動に対応できる持続可能な地域づくりを発信していくこととし、引き続き2040(令和22)年以降も人口30万人規模であることが必要とした。具体的な改善策として74歳までの社会移動率を段階的に改善していくことや、合計特殊出生率を段階的に改善していく(2014(平成26)年1.49を2040(令和22)年1.80へ)ことなどを展望として述べている(郡山市政策開発部政策開発課(2020)『郡山市総合戦略(2020改訂版)』)。