(3) 「郡山市SDGs未来都市計画」の視座からみた移住者支援

 郡山市は、福島県まち・ひと・しごと創生総合戦略及び郡山市総合戦略に基づき、郡山市内への移住・定住を促進するために、福島県と共同してUIJターン移住支援事業を2021(令和3)年3月から実施している。これは、本市が積極的に推進する「SDGs未来都市計画」における持続可能な目標の<8.働きがい>及び<11.住み続けられるまちづくり>を達成する基本理念に適応している。

 その事業内容は、東京圏(東京都及び神奈川県、千葉県、埼玉県)から郡山市に移住する者を対象にして、規定の要件を満たした場合に、移住支援金の支給等を行うものである。また、郡山市の移住・定住ポータルサイトでは、こおりやま広域圏内の行政やNPO法人等が実施している空き家バンクの情報発信を積極的に行うとともに、当該地域へ移住した体験者のインタビュー記事を配信している。


 本節のまとめとして、最近10年間の社会生活の変容をユニバーサルデザインの視点から俯瞰すると、いくつかの憂慮すべき問題点が指摘される。それらは、地球規模の気候変動に起因する自然災害の多発化と、2018(平成30)年末から世界的に大流行した新型コロナ感染症の問題である。特に、後者は、世界中の人々に不安と恐怖を与えて、私たちのいつもの暮らしに「新しい生活様式(ニューノーマル)」(注3)という非日常の生活行動が強いられる事態を生じている。

 一方、国連が主導して世界各国に求めたSDGsに関する2030(令和12)年アジェンダは、世界の人々に夢と希望を与える先進的な旗標である。郡山市は、2019(令和元)年度から重点的施策として「郡山市SDGs未来都市計画」を策定してその推進に取り組んでいるが、その17のゴール(目標)と具体的な169項目のターゲット(標的)は、ユニバーサルデザインの基本理念に共通する内容も少なくない。

 今後、これらの重層化した施策を連携させることは、本市の次代を担う新たな施策へと派生して、さらに進化することが予期される。

(若井 正一)

注3. 厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症専門家会議から提言を受けて「新しい生活様式」の具体的な実践例を示した。(厚生労働省(2020年5月)『厚生労働省公式ホームページ』<https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000641743.pdf>参照2023年7月10日)