(1) 子どもの「遊び場」の創設 “のびのび遊べる環境”

 子どもたちが思いっきり遊べない状況は、子どもの生活リズム・生活行動への影響、生涯の健康に関係する肥満傾向や体力低下、潜在・顕在的ストレス等の諸課題が想定された。子どもの成長発達に「遊び」は必要不可欠であり、遊びを通して、人間関係の構築や様々な学びを体験する。震災直後から限られた環境下でも子どもたちの「日常」を取り戻すべく、様々な対応策が企画・実施された。その一つに「遊び場」の創設がある。

 震災から2年経過した2013(平成25)年度の「遊び」をみると、「公共施設の無料開放(38施設・延べ158団体・利用者数延べ12,127人・使用日数135日)」や、廃校となった河内小旧夏出分校の体育館を活用した「のびのびちびっこ広場IN夏出(利用者数延べ8,188人、開館日数346日)」、「大型遊具の巡回事業(20施設・140日間・利用者数述べ1万570人)」、「幼稚園・保育所等の遊具更新(2013(平成25)年度より42施設・258基について申請)」が行われた。

 震災直後から「ペップキッズこおりやま」は大盛況であり、開所してわずか275日目で来場者30万人(『福島民友』2012年10月5日)、2018(平成30)年4月には入場者200万人を超えた(『福島民報』2018年4月30日)。

 子どもたちの運動不足やストレス等を解消するための対応策の1つとして、「ペップキッズこおりやま」の他、「大槻公園子どもの遊び場」「八山田こども公園」「大安場史跡公園子どもの遊び場」「郡山カルチャーパーク屋内子どもの遊び場」を開設し、子どもたちが気軽にのびのび遊べる遊び場(屋内遊び場)を整備した(表1)。この遊び場の創設は「親の感情として、砂遊び・泥遊び等の外遊びにまだまだ不安がある」「屋外で風を切って走りたいと言っている子どももいる」という保護者の意見にも耳を傾けている(郡山市(2014)『第6回郡山市子ども子育て会議報告資料「屋内運動施設等の設置に係る検討会での意見」』)。

表1 子どもの遊び場(2020年7月30日現在)
施設名 ペップキッズこおりやま 大槻公園子どもの遊び場 八山田こども公園 大安場史跡公園子どもの遊び場 郡山カルチャーパーク屋内子どもの遊び場
開設日 2011(平成23)年
12月23日
2016(平成28)年
11月5日
2017(平成29)年2月4日 2017(平成29)年2月4日 2017(平成29)年
3月18日
特徴 「遊び・学び・育つ」がコンセプト。さまざまな種類の大型遊具や、水遊びができる広い砂場、三輪車のサーキットなどがあり、思いっきり体を動かしながら遊ぶことができる。
「ペップキッチン」では、調理体験を通じて、食べることの大切さを楽しく学べる。
公園内を回遊できるようにスカイデッキを設置。既存のアスレチック施設等を使い子どもたちの体力増進を図ることができる。
また、体験学習施設は、冷暖房が完備され、未就学児から小学生が遊べる遊具や児童図書がおいてある。天候に左右されず利用することができる。
公園の高低差を活用したネットクライミング、ジャンボ滑り台、ボルダリング等を使い子どもたちの体力増進を図ることができる。
また、体験学習施設は、冷暖房が完備され、未就学児から小学生が遊べる遊具や児童図書がおいてある。天候に左右されず利用することができる。
雨が降っても安心な屋根付き大型砂場をはじめ、竪穴式住居型のジャングルジムや、ナウマンゾウの遊具などを設置。子どもたちの体力増進を図ることができる。 屋根付き人工芝グラウンドは、未就学児、小中学生用にネットで3面に区切り年齢に応じて安心して遊べる。年齢に応じた遊具を設置しており子どもたちの体力増進を図ることができる。
また、冷暖房を完備・乳幼児用のキッズスペースを併設している。
設備
概要
〇ペップアクティブ
・屋外サーキット
・屋内砂場(70㎡)
・ベビーゾーン 等 
〇ペップキッチン
・スカイデッキ
・休憩デッキ
・ツリーハウス
・吊り橋
・回転すべり台
・体験学習施設
・ボルダリング
・ジャンボすべり台
・ネット遊具
・芝生広場
・体験学習施設
・屋根付き砂場
・屋外砂場
・土器風クッション遊具
・竪穴式住居風遊具
・ナウマンゾウ風遊具
・屋根付き多目的グラウンド(人工芝)
・キッズスペース
出典 : 第2回体力・運動向上の場に関する分科会資料「子どもの遊び場一覧」