8 市民活動と東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故

 2021(令和3)年3月11日で東日本大震災から丸10年の節目をむかえた。2021(令和3)年3月1日発行の『あしすとぱぁく』第62号では、市民活動団体の目線で「3.11から丸10年~あの時、今、そして未来へ~」と題して、3団体の話を載せている。

 一つ目は女性の悩みに寄り添う「NPO法人ウィメンズスペースふくしま」の話で、インタビューでは、避難所でのプライバシー保護を図るために女性専用スペースの開設・運営を行ったこと、その翌年、内閣府主催の「女性のための電話相談・ふくしま」や託児付き茶話会事業の担い手として依頼を受けたこと、それを機に女性がDVや様々な性差別に苛まれずに安心して暮らせる地域社会の実現をミッションとしてNPO法人になったことが語られている。社会課題の解決には予防教育の重要性を痛感していること、若年層の相談や教育機関と連携し、DV防止、男女平等社会に向けたプログラムの提供を考えていることなどが述べられている。

 二つ目は「NPO法人FUKUSHIMAいのちの水」の話で、子どもへの放射能に対する不安の声から、子どもたちを救う活動を継続するためにNPO法人を設立したことや、水や食料の定期配布を始め希望者が増え、受け入れ物資を増やしながら配布を続けていること、フードバンク事業への取り組み、子どもたちのための食料品提供など支援の呼びかけ、食品ロスの視点に注目し大企業の備蓄品を引き受けることが語られ、活動を継続する思いが綴られている。

 三つ目は「藤沼湖自然公園復興プロジェクト委員会」の話が載っている。藤沼湖は地震により本堤が決壊し大きな犠牲を出した。震災で壊れた地域の絆を取り戻せないかと2012(平成24)年9月に復興プロジェクト委員会を立ち上げたことが語られている。2013(平成25)年に藤沼湖の改修工事前に地域住民に向けて「藤沼湖の湖底を歩く会」を開催したこと、湖底に沈み眠っていた紫陽花の群生の発見と移植、それを「奇跡の紫陽花」と名づけ、その後その紫陽花の里親募集をしたことが語られ、新たにできたつながりを持続し、「奇跡の紫陽花」ストーリーを伝え続け、次代の子ども達に「備え、支え、伝え」の想いを繋げていきたいと語っている。

 3団体の話は、女性・子ども・地域の絆と様々な角度から市民活動が行われてきていることを明示し、そこからは市民活動の力を感じる。