(2) 流行波の状況と特徴

 経時的な感染者の発生状況は図2、図3、表1のとおり7回の流行波があり、回を重ねるごとに感染者数が飛躍的に増加した。これらの流行波ごとに感染の規模や感染者の重症度が異なっていたため、保健所はその都度、感染対策の選択と重点化を行い適切に対応していくこととなった。


図2 感染者の発生状況(第1~5波:2020.3~2021.11)
出典:『郡山市における新型コロナウイルス感染症対応白書』2頁 郡山市保健所


a 第1波(2020(令和2)年3月~6月)

 全国的に第1波とよばれるこの時期に、市内では計6人の感染者が確認された。福島県内他地域では複数のクラスター(以下、同時期に5人以上の感染者が発生した集団を「クラスター」という。)が発生していたが、市内での発生はいずれも単発事例でクラスターに至った事例は確認されていない。

b 第2波(2020(令和2)年7月~11月)

 2020(令和2)年5月から約2月間、感染者は確認されなかったが、7月に入ると全国的な人の移動の活発化に伴い市内でも感染者が散発しはじめた。8月には市内初のクラスターが確認されるなど26人と急増し、9月には駅前の飲食店街を中心に複数のクラスターが確認されるなど32人、10月には市内の専門学校で1日10人を超える感染者が確認された。このため、10月12日から15日までの間、厚労省クラスター対策班や福島県立医大の支援を受け疫学解析を実施した。この解析結果を踏まえた対応を講じたことにより、感染状況は、10月92人、11月32人と収束していった。第2波では市内で計185人の感染者が確認され、ピークは10月10日などの10人であった。この間、特筆すべきことは市保健所の疫学解析体制が確立し、疫学解析結果に基づき、市民や医療機関に対する情報提供、PCR検査対象者の把握手法などクラスターの予防、早期覚知、早期対応等一連の対策が確立された。

c 第3波(2020(令和2)年12月~2021(令和3)年2月)

 2020(令和2)年12月に入ると年末年始の移動等の増加に伴い、感染者が増え始め、特に年末年始に伴う人の移動に伴い、感染者が増加したが流行波の期間は短く2月上旬には収束していった。この間、市内では206人の感染者が確認され、ピークは1月13日の13人と、第2波と同程度であった。

d 第4波(2021(令和3)年3月~6月)

 2月下旬になると医療機関や福祉施設でクラスターが発生するようになり、3月には月間最多の219人が確認された。市内医療機関のクラスターは職員、入院患者の他、退院患者等を含め173人の感染者が確認された。これは本市のみならず東北地方最大の規模であった。退院患者については、保健所が退院後7日目にPCR検査を全員に実施していたが、この中から27人の感染者を確認した。退院後感染が確認された方から家族や施設入所者へ感染が拡大した事例も多数認められたが、その都度、その家族や施設同居者に対してPCR検査を継続して行ったことにより、さらなる感染拡大を防いだ。この病院クラスターは3月末に収束した。この病院の外来・新規入院が数週間にわたり休止したため救急医療が一時逼迫したが、他の二次救急輪番病院の努力や他地域医療機関の協力により市内の救急医療が破綻することはなかった。

 4月に入ると、新たな変異株(アルファ株)が市内でも確認され、6月、従来株は完全にアルファ株に置き換わった。アルファ株は従来株と比較して、感染力が強いことから、4月以降も感染が拡大し4月136人、5月154人、6月148人と毎月100人を超える感染者が確認された。第4波は全体では計657人の感染者が確認され、ピークは3月20日の20人である。

e 第5波(2021(令和3)年7月~11月)

 2021(令和3)年8月になるとアルファ株より感染力が強いデルタ株が市内でも確認され、8月末にはデルタ株に置き換わった。第5波の特徴は感染力が強いことに加えて、肺炎を起こして重症化する割合が高くなり、2回の予防接種が終了していない40~60代の感染者を中心に中等症、重症患者の割合が増加した。8月の591人をピークに9月117人、10月8人、11月3人と収束し、期間全体では1,008人に感染が確認され、ピークは8月11日の36人であった。第4波までの感染者は特殊な事例を除いて全員が入院できたが、第5波以降は感染者数の急増により、すべての感染者を入院させることできず、中等症以上の方や重症化リスクの高い方が入院の対象となり、それ以外の方は宿泊療養または自宅療養となった。


図3 感染者の発生状況(第6~7波:2021.12~2022.9.25)
出典:『郡山市における新型コロナウイルス感染症対応白書』6頁 郡山市保健所

表1 流行波の期間、感染者数、クラスタ―数及び主たるウイルス株
流行波 期間 感染者数 クラスター ウイルス株
始期 終期 期間総数 1日最大数 月間最大数
第1波 2020年3月 2020年5月 6人 1人 4人 0件 従来株
第2波 2020年7月 2020年11月 185人 10人 92人 7件
第3波 2020年12月 2021年2月 206人 12人 84人 6件
第4波 2021年3月 2021年6月 657人 20人 154人 8件 アルファ株
第5波 2021年7月 2021年11月 1,008人 36人 591人 15件 デルタ株
第6波 2021年12月 2022年6月 13,979人 242人 4,653人 129件 オミクロン株
第7波 2022年7月 2022年9月 23,217人 701人 12,693人 72件 オ株BA.1系統
(注1)第7波は2022年10月以降も継続していたが、全数把握が終了した9月26日以降は含まれていない。
(注2)2022年7月25日以降、積極的疫学調査を簡略化したためクラスターは全数把握されていない。
 出典: 『郡山市における新型コロナウイルス感染症対応白書』郡山市保健所より作成

f 第6波(2021(令和3)年12月~2022(令和4)年6月)

 2021(令和3)年11月に南アフリカで確認されたオミクロン株が国内でも置き換わりが進み、2022(令和4)年1月、市内でも年末年始の人の移動を背景に感染者が急増した。1月25日には初めて1日当たりの感染者数が100人を超えた。第6波の期間は7ヵ月に及び1月に868人だった感染者数は、4月には4,653人まで増加した。その後は減少に転じた。第6波では合計13,979人が感染し、ピークは4月5日の242人である。これはいずれも第5波の約7倍である。オミクロン株は従来株、アルファ株、デルタ株とは比較にならないほど強い感染力があり、それまでの疫学調査や濃厚接触者対策などの防疫対策では感染の拡大を防ぐことは困難であった。特に幼稚園・保育所でクラスターが多発し、児童からその家族に感染が拡大する状況となった。

g 第7波(2022(令和4)年7月~9月)

 6月以降減少していた感染者数は8月に入ると急増し始めた。第7波の特徴としてはオミクロン株が変異した「BA.5系統」が感染の主流とったため、より強い感染力を背景に感染者が爆発的に増加した。第7波のピークは8月18日であり、1日当たり701人の感染者が確認された。これは第6波の3倍に相当する規模である。日々の感染者数が入院病床数を大幅に上回ったこと、オミクロン株感染者の重症度はデルタ株と比較して低かったことから、国は7月22日に、重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置いた対策に転換するため、医療機関や保健所等の業務の重点化と負担軽減を図る通知を発出した。この通知を受け、本市においても、感染症対策を病状が悪化した感染者の早期発見と医療の確保に重点・強化する一方、積極的疫学調査を簡素化するなど業務の効率化を図った。

h 感染者全数把握見直し後(2022(令和4)年9月26日以降)

 2022(令和4)年9月26日以降、国は感染者の届出対象を高齢者等ハイリスク者に限定したため、本市保健所における全数把握は行われていない。福島県の統計によれば、第7波は9月に収束したものの11月~12月にかけて第7波と同規模の流行が(第8波)確認されている。