(2) 流行波の状況

 表1は、2020(令和2)年3月~2021(令和3)年12月31日までの郡山市における月別感染者数である。感染者数は増減(流行波)を繰り返しながら推移した。流行波に一定の定義はないため、感染者が増加に転じた月を流行波の始まりとした。市内で感染者が確認されてから2021(令和3)年12月31日までに、6つの流行波が確認された。

表1 郡山市の新型コロナ感染者数(月別:2020年3月14日~2021年12月31日)   (人)
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
2020年 - - 1 4 1 0 3 26 32 92 32 40
2021年 84 82 219 136 154 148 289 591 117 8 3 4
注 https://www.city.koriyama.lg.jp>siteの郡山市の感染者の状況(月別)より表を作成

<第1波:2020(令和2)年3月~6月>

 この期間全体では、6人の感染者が確認されたが、同じ日に感染者が2名以上確認された日はなく、感染状況は落ち着いていた。


<第2波:2020(令和2)年7月~11月>

 2020年7月に「Go Toトラベル」が開始されてから人の移動が活発化し、市内では移動に起因する感染者が増加し始め、7月は3人が確認された。8月には市内で初めてのクラスターが確認され、8月は26人、9月も32人と二桁に増加した。10月は月別で過去最多の92人となったが、11月は32人に減少した。第2波の期間全体では、計185人の感染が確認された。


<第3波:2020(令和2)年12月~2021(令和3)年2月>

 2020年12月には、県外への移動や年末年始に伴う帰省などで感染者が増加し、12月は40人、2021年1月は84人、2月は82人で、第3波の期間全体では、計206人の感染者が確認された。第3波では、2月中旬にかけて感染者数が減少したが、2月下旬からクラスターが同時多発的に発生した。最も多かったのが社会福祉施設で3件、次いで医療機関1件、教育機関の課外活動、その他が各1件で、計6件の発生があった。


<第4波:2021(令和3)年3月~6月>

 2021(令和3)年2月下旬からクラスターが発生したことにより、3月は月別過去最多の219人が確認された。中でも医療機関のクラスターでは、職員や患者等173人の感染者が確認され、東北地方最大規模のクラスターとなった。

 4月には、市内で変異株の「アルファ株」が確認され、5月のGW明けには急増し、6月中旬には「アルファ株」にほぼ置き換わったことが確認された。

 この「アルファ株」はこれまでの従来株に比べ感染力が強く、4月以降も感染拡大が継続した。毎月100人以上の感染者が確認され、期間全体では、計657人の感染者が確認された。

 この期間のクラスターで最も多かったのが事業所で4件(50%)、次いで教育機関3件(38%)、児童施設1件(12%)、計8件であった。


<第5波:2021(令和3)年7月~11月>

 2021(令和3)年7月には「アルファ株」より感染力が強い「デルタ株」への置き換わりが進んだ。7月から8月にかけては、夏休みやお盆の帰省などで人の流れも多く、8月下旬までに「デルタ株」へ急速に置き換わった。

 第5波の特徴としては、短期間で症状悪化や重症化がみられたことや重症化する患者の多くは、高齢者よりも40~60代に多数見受けられたことなどである。

 月別では、7月は289人、8月は591人と月別過去最多を更新したが、9月には117人、10月は8人、11月は3人と急激に減少し、第5波の期間全体では、計1,008人の感染が確認された。

 クラスターは、事業所9件(60%)、飲食店6件(40%)の計15件であった。事業者や飲食店でのクラスター発生が目立った。


<第6波:2021(令和3)年12月~2022(令和4)年6月>

 2021(令和3)年11月25日に、南アフリカで強い感染力を持つ「オミクロン株」が初めて確認され、12月には世界各国から感染例が報告された。国内でも海外から持ち込まれた「オミクロン株」への置き換わりが急速に進み、全国的な感染拡大が進んでいった。市内では、12月の感染者は4人であった。