(4) 福島県の診療体制の整備

a 医療従事者の確保

 福島県は人口10万人当たりの医師数が204.9人(2018(平成30)年)で、全国41位と少ない。福島県は2020(令和2)年5月、コロナ感染の第2波に備えて、院内感染が発生した場合には、県内の他の医療機関から医師や看護師を派遣し、派遣元の医療機関の職員が手薄になった場合には、さらに別の医療機関から玉突きで職員を派遣することなどを検討した。

 また、県は、災害時や感染症拡大時に看護職員を確保するため、2021(令和3)年4月から県看護協会の協力を得て、潜在看護師を確保するための登録制度を設け、登録者に研修を行い、円滑に現場に入れるようサポートする方針を決めた。


b 病床・宿泊療養室の確保

 県内で初めてコロナ陽性者が確認された2020(令和2)年3月の時点で、患者の受け入れが可能な病床は、感染症指定医療機関の専門病床計32床のみであった。県は専門病床と同等の設備がある結核病床などの提供を医療機関に求め、2020(令和2)年4月9日には100床超に拡大、その後も病床を段階的に確保し、同年5月14日の時点で入院可能な病床は229床となった。また、無症状や軽症の人を受け入れる宿泊療養施設を300室確保した。

 福島県内の2020(令和2)年12月15日の感染者確認数は659人となり、入院者は125人で確保病床使用率が26.7%となり、ステージ3への移行基準(25%)を超えた。このため県は、重症化リスクが低いとされる20~30代の若者を中心に、医師の診断を基に医療機関に収容せず、ホテルや自宅などでの療養に切り替えた。

 2021(令和3)年7月に県内でデルタ株の陽性者が確認されて以降、感染者がさらに急増し、8月には病床使用率が8割を超えた。県は新たにコロナ病床を597床、宿泊療養施設を60床増やし、クラスターの発生に備えた。