(2) 生活習慣、社会環境の改善

a 栄養・食生活の改善

 厚生労働省の調査で、福島県の急性心筋梗塞の死亡率2015(平成27)年度が都道府県別で男女ともワースト1位、脳血管疾患は2020(令和2)年度ワースト7位となるなど、食生活の改善を含めた生活習慣病の予防が課題となった。郡山市と市保健委員会食生活改善部は、2018(平成30)年に市内19ヵ所で「塩分減らそうキャンペーン」を開いた。食生活改善推進員が啓発の資料や計量スプーンなどを配布し、生活習慣病予防で重要な減塩を呼び掛けた。

 郡山市と県保健衛生協会は、2019(令和元)年10月7日、生活習慣病予防に向けた包括連携協定を結んだ。県保健衛生協会が県内市町村と協定を締結するのは初めてである。協定に基づき、前年度に市内の企業8社の581人に実施した簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)調査で食塩摂取量が多かった人を対象に尿検査による推定食塩摂取量の測定を行い、減塩に向けた生活習慣の改善を目指した。

 また、市が2021(令和3)年に行った「健康づくり・食育に関するアンケート調査」年)では、肥満者の割合が、男性(20~60歳代)35.7%、女性(40~60歳代)23.7%であり、10年前の2011(平成23)年に比べると男女とも大幅に増加していた。同調査結果において、成人全体の27.5%が「新型コロナウイルス感染症の流行前と比べて体重が増えた」と回答。そのうち、およそ4割の人が「間食が増えた」と答えており、外出自粛などの影響により、家での食生活に変化が生じたことが、肥満者増加の要因の一つになったと考えられる。


b 身体活動・運動

 郡山市の小、中学生の体力・運動能力調査2014(平成26)年度では、体力・運動能力が全国平均を大きく下回った。市内幼稚園で実施した幼児の歩数調査では、1日の歩数の75%が園内で、それ以外が25%にとどまっており、帰宅してからの身体活動・運動機会の確保が課題となった。

 郡山市健康振興財団は2015(平成27)年5月21日に「健康マイレージ」を始めた。健康マイレージは、ロコモ予防体操やラジオ体操などの運動を行うことでポイントがたまる仕組みで、3ヵ月ごとに参加者のポイントを確認し、野菜の購入や旅館で使える共通利用券を贈るもので、初日は郡山保健所で約20名の参加者に財団職員が健康マイレージや運動の取り組み方を説明した。2020(令和2)年には、新型コロナウイルス感染症の影響で、家で過ごすことが多くなっている人向けに自宅で簡単に取り組める「まるごと健康体操」を考案し、DVDに収め貸し出した。

 市は、2015(平成27)年10月15日、NTT東日本などと連携し、活動量計とタブレット端末を組み合わせ、高齢者が歩いた運動量のデータをタブレット端末で自ら確認できる「健康トライアル」を開始した。市の高齢者大学「あさかの学園大学」では、学生50人がチームに分かれ歩数の平均値を競うチーム対抗戦や、個人の順位を競うイベントなども行われ、楽しみながら身体を動かした。


c 喫煙

 イオン郡山フェスタ店は市保健所と連携し、同店で禁煙および受動喫煙防止の普及啓発やがん検診をPRするキャンペーンを開いた。

 郡山市健康振興財団は、2015(平成27)年5月、同市保健所で禁煙月間企画「肺年齢を測ってみよう!~禁煙のすすめ」を開いた。参加者は、体験型の呼吸器検査機器を使って自分の肺年齢を測定した。また、喫煙などにより発症する慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状なども学び、呼吸器の病気を防ぐための方策に理解を深めた。

 市は、2017(平成29)年12月1日から市内全ての市関連公共施設で敷地内禁煙を始めた。同月18日には郡山保健所が受動喫煙防止の講演会を開いた。坪井病院の坪井永保理事長が「知っておきたい たばこの真実」と題し、受動喫煙が身体に及ぼす影響や肺の生活習慣病「COPD」などについて講演を行った。

 また、市と郡山薬剤師会は2020(令和2)年1月31日、禁煙支援や喫煙、受動喫煙の防止に関する包括連携協定を結び、薬剤師が禁煙に関する相談に応じ、禁煙のための情報提供や禁煙補助薬の使用方法などを紹介し、健康増進の推進につなげた。

 市によると、成人の喫煙率は、2011(平成23)年の20.8%から、2021(令和3)年には17.1%へとわずかに減少した。


d 歯と口腔の健康

 本県の3歳児の平均虫歯数は、2012(平成24)年度は1.25本で、47都道府県で最多であり、最少の岐阜県と比べると約3倍に上った。また、虫歯のある6歳児の割合も2014(平成26)年度には65.5%で全国最多となり、全国平均の47.34%を18.16%上回った。

 郡山歯科医師会は、市、市教委、県歯科技工士会郡山支部、県歯科衛生士会郡山支部と共催で、「歯と口の健康」週間に合わせて毎年恒例で啓発フェアを開催し、参加者は歯の磨き方や口の中を清潔に保つ大切さなどを楽しみながら学んだ。

 奥羽大学歯学部付属病院矯正歯科の福井和徳教授は、歯並びが呼吸や姿勢など全身の健康に影響を与えることから、予防医療の観点で幼児期からの歯並びの治療の重要性を訴えた。