第3節 高齢者支援

 わが国は人口の高齢化が急速に進行しており、現在、世界で最も高い高齢化率を示している。郡山市の65歳以上の高齢者人口も、2012(平成24)年度に69,301人、高齢化率21.3%であり、10年後の2021(令和3)年度に86,519人、高齢化率27.0%と増加傾向にある。また、高齢者を前期高齢者(65~74歳)、後期高齢者(75歳以上)に区分してみると、2014(平成26)年度から前期高齢者が後期高齢者を上回った。このような中、郡山市の総人口は、2012(平成24)年度からの推移では、2016(平成28)年度に327,022人となるもその後、減少傾向にあり今後も続くものと予測される(表1)。

表1 郡山市における高齢者人口の推移(2012~2021年度)
総人口 高齢者数
(高齢化率%)
前期高齢者数(%) 後期高齢者数(%)
2012(平成24)年 325,947 69,301(21.3) 33,871(10.4) 35,430(10.9)
2013(平成25)年 325,095 72,019(22.2) 35,847(11.0) 36,172(11.2)
2014(平成26)年 326,574 74,612(22.8) 38,039(11.6) 36,573(11.2)
2015(平成27)年 326,996 77,316(23.6) 39,894(12.2) 37,422(11.4)
2016(平成28)年 327,022 79,219(24.2) 41,017(12.5) 38,202(11.7)
2017(平成29)年 326,094 81,248(24.9) 42,146(13.9) 39,102(12.0)
2018(平成30)年 324,267 82,699(25.5) 42,759(13.2) 39,940(12.3)
2019(令和元)年 323,204 83,923(26.0) 43,044(13.3) 40,879(12.7)
2020(令和2) 年 321,735 85,305(26.5) 44,228(13.7) 41,077(12.8)
2021(令和3) 年 320,467 86,519(27.0) 45,490(14.2) 41,029(12.8)
出典:郡山市介護保険課

 こうした超高齢社会に対応すべく、国では法律の施行や改正など高齢者を取り巻く制度の整備が行われた。具体的には、2014(平成26)年に、慢性的な疾病や複数の疾病を抱える高齢者の増加が見込まれる中、急性期の医療から在宅医療、介護までの一連のサービスを地域において総合的に確保する必要があり、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、「地域における医療及び介護の総合的確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」が施行された。また、2017(平成29)年には、地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等も一部を改正する法律による、社会福祉法の改正において、地域住民と行政などが協働し地域や個人が抱える生活課題を解決していくことができるよう、「我が事・丸ごと」の包括的な支援体制を整備することが市町村の努力義務となった。さらに、介護保険法の改正において、高齢者がその有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるように支援することや、要介護状態等の軽減、悪化の防止という介護保険制度の理念を踏まえ、地域の実情に応じた取り組みの推進に努めることとされた。加えて、2020(令和2)年、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」を公布し、地域共生社会の実現を図るため、地域の特性に応じた介護サービスの提供体制の整備等を推進することとしている。

 このように制度改正が行われる中、郡山市は健康寿命の延伸に努め、多様な知識と経験を持つ高齢者が社会の担い手として生きいきと元気に活躍できる活力ある地域の実現を目指した。また、介護予防・重度化防止の推進、認知症施策、多様な生活支援・介護予防サービスの充実など、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で生活していくために、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを推進してきた。本節では地域包括ケアシステムを構成する主な支援内容についてまとめていく。