生活保護制度と一体的な運用とされた生活困窮者自立支援制度であるが、郡山市では制度施行に伴い2015(平成27)年4月より、保健福祉総務課に「自立支援相談窓口」を設置し就労・相談支援員を配置して相談にあたっている。この窓口では相談型支援を行うことが特徴としてあげられる。相談窓口では、訪問支援(アウトリーチ)も含め、生活保護に至る前の段階からの早期支援や専任の支援員を配置し、ワンストップ型の相談窓口による生活安定及び就労促進支援、一人ひとりの状況に応じ、自立に向けた支援計画に基づく伴走型の相談支援、ハローワークや福祉事務所等の関係機関との緊密な連携体制によるチーム支援を実施している。
主な事業としては「自立相談支援事業」「住居確保給付金」「就労準備支援事業」「就労訓練事業(中間的就労)」「家計改善支援事業」「こどもの学習・生活支援事業(愛称・がくと塾)」が実施されている。支援状況の実績をみてみると2015(平成27)年度は新規相談受付672件から2016(平成28)年度は818件と増えたが、2017(平成29)年度、2018(平成30)年度と600件台で推移して、2019(令和元)年度には約500件となった。2020(令和2)年度1,780件、2021(令和3)年度1,390件と2019(令和元)年までと比べて相談件数が大幅に増加しているが、2020(令和2)年、2021(令和3)年は新型コロナ感染症の拡大の時期と重なり、市民の生活にも大きな影響が出た時期でもある(表3)。
これらの相談の中で利用が最も多い事業は「就労支援(自立就労)」となっている。また、この就労に関する支援については、ハローワーク郡山との一体的就労支援にも取り組んでいる。これは、2013(平成25)年10月から始まった国と地方自治体との一体的実施事業であり、市とハローワーク郡山が生活保護受給者等を対象とした就労支援の常設窓口である「ハローワークコーナー」を福祉事務所生活支援課カウンターに設置している。具体的な対象者を「生活保護受給者、住宅支援給付受給者、児童扶養手当受給者及び生活保護の申請・相談者」としている。ハローワーク郡山との一体的就労支援について図6では「生活保護受給者に対する就労支援実績」と生活困窮者も含めた「一般的就労支援実績(事業全体)」の推移が読み取れる(図6)。

(図6:郡山市『郡山市公式ホームページ』「郡山市統計こおりやま 市政見える化データ集(健康・福祉)」< https://www.city.koriyama.lg.jp/uploaded /attachment/61346.pdf>)
生活保護受給者に対する就労支援については、当初は就労支援対象者のうち就労に結びついた就労率が40%台で推移していたが、2022(令和4)年度には77.9%と大きく数値が上がっている。
また、郡山市は2017(平成29)年10月26日から市内3ヵ所に「福祉まるごと相談窓口」を開設し、市民のさまざまな相談に対応できるような相談体制の整備も図った。