2 障害者支援施設

 障害者支援施設は、障害者総合支援法を根拠法として設置・運営している。具体的には施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、つまり施設入所支援を行う。さらに、施設入所支援以外の施設障害福祉サービスである「生活介護」、「自立訓練」、「就労移行支援」及び「就労継続支援B型」等を実施する。「生活介護」とは、常に介護を必要とする方に対して、主に昼間において、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事、生活等に関する相談・助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動・生産活動の機会の提供のほか、身体機能や生活能力の向上のために必要な援助を行うことである。また、「自立訓練」とは、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、定める期間において身体機能または生活能力の向上のために必要な訓練を行うこと、さらに「就労移行支援」とは、就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、1.生産活動、職場体験等の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、2.求職活動に関する支援、3.その適性に応じた職場の開拓、4.就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援を行うことである。そして「就労継続支援B型」は、通常の事業所に雇用されることが困難であり、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行うことである(厚生労働省(2021)『厚生労働省ホームページ』「障害福祉分野の最近の動向」<https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000783177.pdf>参照2023年11月17日)。

 郡山市にある障害者支援施設は、花かつみ豊心園(知的障がい者)、あさかあすなろ荘(知的障がい者)、南東北さくら館(身体障がい者)の3施設がある。

 郡山市花かつみ豊心園は1991(平成3)年5月に開設した、18歳以上の知的障がい者が入所し、保護を受けながら、その更生に必要な指導・訓練を受ける施設である。設置主体は郡山市であり、郡山市より社会福祉法人郡山市社会福祉事業団が管理運営を委託されている。運営方針は、「1.利用者の自己決定を尊重し、利用者の立場に立ったサービスの提供、2.利用者の心身の状況やニーズに沿った適切かつ効果的なサービスの提供、3.提供するサービスの点検評価と改善によるサービスの質の向上、4.利用者の日常生活能力及び身体機能の維持向上のための支援、5.人権擁護の順守とプライバシーの保護を重視した取り組み、6.利用者の安全と事故防止のための体制整備と訓練等の実施」としている。さらに、利用者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、日常生活上の援助、日中活動の支援等を行うことにより、利用者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように支援を行っている(福ひろば福祉『郡山市花かつみ豊心園』<https://www.fukuhiroba.com/koriyama/fukushi/shisetsu/769/>参照2023年11月17日)。

 あさかあすなろ荘は、社会福祉法人安積愛育園が、1997(平成9)年4月に開設した。生活介護、施設入所支援、短期入所、日中一時支援事業を行っている。利用者のニーズを実現できるように、適した個別の計画を考え、その計画を基に支援を行い、一人ひとりが望む生活と自己実現に向け、安全かつ快適に過ごせるよう支援している。また、余暇の支援では、社会資源や娯楽施設を活用し、施設生活でのリフレッシュも兼ね、興味・関心に合わせた個別での外出や小旅行を実施するなど、施設内での暮らしに完結せず、社会とのつながりを大切にそれぞれが望む生活と自己実現に努めている。

 南東北さくら館は、社会福祉法人南東北福祉事業団が1999(平成11)年4月に、高齢者福祉、障がい者福祉の複合施設である総合南東北福祉センター内に開設した。18歳以上で、身体に障がいがあるために常に介護を必要とする方が利用できる入所施設であり、障がい者の方々の「生活施設」として位置づけられている。また、一時的に宿泊できる短期入所サービスや日帰りで利用できる生活介護サービスも提供している。運営方針は、「1.利用者がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、保健、医療、福祉、就労支援、教育等の関係機関との緊密な連携を図りつつ、指定計画相談支援を当該利用者の意向、適性、障害の特性その他の事情に応じ、適切かつ効果的に行うものとする。2.利用者の意思及び人格を尊重し、常に当該利用者の立場に立って、当該利用者に提供される福祉サービス等が特定の種類又は特定の福祉サービス事業等を行う者に不当に偏ることのないよう、公正中立に行うものとする。3.自らその提供する指定計画相談支援の評価を行い、常にその改善を図るものとする。」としている。これらを通して、住み慣れた地域で、生涯安心して暮らしていただくための支援を行っている。