(1) 郡山市の気候変動

 地域気象観測所(アメダス)の郡山観測所(安積町成田字東丸山)の気象データによると、2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間の年毎の最高気温(平均値は35.24℃)と2002(平成14)年から2011(平成23)年までの10年間の年毎の最高気温(平均値は34.47℃)を比較すると、統計学的に有意であると言えなくもない差異(p=0.059(注1))があった。1976(昭和51)年以降の45年間の日最高気温を高い方から並べると、上位5位のうち四つが2012(平成14)年から2021(令和3)年までの10年間に記録されている。同様に年平均気温を高い方から並べると上位5位のうち三つが2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間に記録されていることからも、地球温暖化の影響が顕在化しているといえる。

 1976(昭和51)年以降に観測された月降水量を多い方から並べると、上位5位のうち二つが2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間に記録されている。同様に月降水量を少ない方から並べても、上位5位のうち二つが2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間に記録されており、気候変動により郡山市の降水量が非常に不安定化していることは明らかである。日最大10分間降水量を多い方から並べると、上位5位のうち四つが2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間に記録されており、局所的に短時間に強く降るゲリラ豪雨の発生が特に顕著となっている。郡山市では、ゲリラ豪雨による浸水被害を軽減するため、「郡山市ゲリラ豪雨対策9年プラン」を策定し、市内5ヵ所に雨水貯留施設を設置するなどの対策が進められている。

(注1 p値は統計学上、統計的検定と呼ばれており、0~1の範囲の数値で示される。一般的に、p値が0.05未満の場合は有意性ありと考えられている。)


表1 1976年以降の観測史上1~5位の年間気象観測値。網掛けは2012年から2021年までの10年間での観測。