(2) 気候変動への対応

 2015(平成27)年12月にパリで開催された「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)」において、2020(令和2)年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組みとしてパリ協定が採択され、2016(平成28)年に発効した。2018(平成30)年のCOP24のIPCC1.5℃特別報告書では、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2050(令和32)年までにCO2の実質排出量をゼロにする必要があることが報告された。そのような国際情勢のもと、わが国では2019(令和元)年に「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を策定し、菅総理大臣(当時)は2020(令和2)年10月の所信表明演説において、2050(令和32)年に国内の温室効果ガス排出を実質ゼロにする2050年カーボンニュートラルを宣言した。郡山市が「2050年二酸化炭素排出量実質ゼロ」を宣言したのは、菅総理大臣のカーボンニュートラル宣言より早い2019(令和元)年11月であった。

 郡山市では、2010(平成22)年に策定された「郡山市第二次環境基本計画」(目標年度2017(平成29)年)に基づき、「人と地球にやさしい持続可能なまち」を望ましい環境像として、地球温暖化対策に取り組んだが、2017(平成29)年度の温室効果ガス排出量は+5.2%(2009(平成21)年度比)であり、目標値である-7%(2009(平成21)年度比)の達成には至らなかった。2018(平成30)年度からは、環境分野の将来構想を「環境にやさしく自然豊かな、住んでいてよかったなと思えるまち」とした郡山市第三次環境基本計画(目標年度2021(令和3)年)に基づき、気候変動への対応とエネルギー対策に取り組んだ。その結果、2018(平成30)年度に-9.7%(2013(平成25)年度比)であった温室効果ガス排出総量は、2021(令和3)年度には-18.5%(2013(平成25)年度比)まで削減された。温室効果ガスの部門別排出量(2019(令和元)年度実績)を2013(平成25)年度比で評価すると、産業部門では-18.7%、民生家庭部門では-17.7%、民生業務部門では-16.9%、運輸部門では+13.8%、その他(エネルギー転換部門、廃棄物、メタンなど)では-2.9%であり、特に運輸部門での削減が遅れている。2021(令和3)年3月には、2030(令和12)年の温室効果ガス排出量の削減目標を-30.0%(2013(平成25)年度比)とする「郡山市気候変動対策総合戦略」が策定され、温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みのいっそうの推進が図られている。


図1 【郡山市の部門別温室効果ガス排出量の推移】
出典:2022(令和4)年度版 郡山市の環境


図2 【郡山市の温室効果ガス排出量の推移】
出典:2022(令和4)年度版 郡山市の環境