2015(平成27)年9月、国際連合が開催した「国連持続可能な開発サミット」において採択された2030(令和12)年度までの国際目標SDGs(17の目標(ゴール))の12番目のゴールである「つくる責任つかう責任」の達成に向け、持続可能な生産消費形態を確保することが責務となった。わが国においては、2019(令和元)年10月に食品ロスの削減を推進する「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、食品廃棄物の削減が定められた。
郡山市では、2008(平成20)年に策定した「郡山市ごみ処理基本計画」に基づき、発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)、いわゆる3Rに取り組み、ごみの減量や資源の有効利用及び環境に優しいごみ処理体制の確立など、循環型社会に向けた施策を推進し、ごみ発生量は減少傾向であった。しかし、東日本大震災の影響により、2011(平成23)年度以降のごみ発生量は増加傾向に転じ、1人1日当たりのごみ排出量は、目標値990g(目標年度は2017(平成29)年度)に対し、2012(平成24)年度は1,454gとなった。2017(平成29)年度では1,205gと減少したが、目標値は達成できなかった。一方、リサイクル率(家庭系)も、目標値24.0%(目標年度は2017(平成29)年度)に対し、2012(平成24)年度は11.0%、2017(平成29)年度では10.1%と、目標値は達成できなかった。
2018(平成30)年度からは、2027(令和9)年度を目標年度とした新たな「一般廃棄物処理基本計画」が始まり、1人1日当たりのごみ排出量の目標値910gとリサイクル率(家庭系)の目標値26%の達成に向けた新たな取り組みが始まった。さらに「郡山市第三次環境基本計画」では、郡山市まちづくり基本指針との整合性を図るとともに、社会情勢の変化にも柔軟に対応するため、計画期間を2018(平成30)年度から2021(令和3)年度までの4年間とし、2021(令和3)年度の目標値として、1人1日当たりのごみ排出量1,036g、リサイクル率(家庭系)17.5%が定められた。しかし、2019(令和元)年の令和元年東日本台風により、災害ごみが発生しただけでなく、富久山クリーンセンターリサイクルプラザの被災によって、資源物の収集は一時見合わせとなった。さらに2021(令和3)年2月13日と2022(令和4)年3月16日の福島県沖地震でも廃棄物の大量発生が生じた。また、2020(令和2)年以降は新型コロナウイルス感染症の影響で巣ごもり需要が増え、持ち帰り容器が増えたことで、1人1日当たりのごみ排出量が増加した。これらの天変地異による影響は大きく、廃棄物の減量化は計画どおりには進んでいない。2021(令和3)年度の1人1日当たりのごみ排出量は1,183g、リサイクル率(家庭系)は9.9%であり、目標値の達成からは遠い状況が続いている。
ごみ収集手数料が有料の自治体が全国の66.3%にあたる1,154市町村(2021(令和3)年度、粗大ごみを除く)に及ぶ中で、郡山市では生活系のごみ収集の有料化は実施されていない。有料化を実施している自治体のごみ排出量は、有料化を実施していない自治体のごみ排出量よりも少ない傾向にあり、ごみ排出量の減少を誘導する新たな手立てとして、ごみ収集の有料化を検討する時期に来ている。