(2) 市街地再開発事業

 市街地再開発事業は、都市再開発法に基づき、中心市街地等の建築物が密集し、効率的な土地利用が困難な地区において、建築物の共同化や道路、公園等の公共施設の一体的な整備により、土地の合理的な高度利用と都市機能の更新を図ることを目的としている。

 都市計画事業とする本市の市街地再開発事業の一番目は、市施行として1975(昭和50)年11月に都市計画決定された「郡山駅西口第一種市街地再開発事業」であり、郡山駅西口駅前広場や複合商業施設のビッグアイ等の整備が行われた。2001(平成13)年4月に開業している。

 また、1993(平成5)年3月には、組合施行による「郡山中町第一地区第一種市街地再開発事業」が都市計画決定され、商業施設(うすい百貨店)の整備が行われた。1999年(平成11)年11月に開業している。

 その後、少し時間をおいて、2006(平成18)年3月には、「郡山駅前一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」及び「同第二地区第一種市街地再開発事業」の2ヵ所同時に都市計画決定が行われ、先行して同第一地区第一種市街地再開発事業の整備が進められたところである。整備内容は、組合施行による医療施設(寿泉堂綜合病院)及び住宅、駐車場の複合施設である。

 ここでは、2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間において、国、県、市が支援している再開発事業について以下に示す。

a 郡山駅前一丁目第二地区第一種市街地再開発事業

 郡山駅前一丁目第二地区第一種市街地再開発事業は、中心市街地の居住人口の増加を目指し、都市型住宅を中心として、同第一地区第一種市街地再開発事業で整備した総合病院と連携する医療施設等からなる複合施設の整備を予定するものである。

 2006(平成18)年3月の都市計画決定後、先行して整備が進められ、2011(平成23)年に移転した同第一地区第一種市街地再開発事業に続き、事業着手を予定したが、東日本大震災の影響等もあり、住宅保留床を取得する事業者が確定できず、やむなく事業休止となった。その後、施行者の努力により、2018(平成30)年12月から事業再開に向けた協議が始められ、一部計画の見直しを行い、2021(令和3)年2月に都市計画変更、更に同年9月に事業認可を経て、権利変換認可の手続きを進めているところである。

 また、現地では、2021(令和3)年から建物補償、建物除却等を実施し、国・県、市の財政支援を充てて整備が進められている。

 なお、事業の概要等は、表8のとおりである。

表8 事業概要
主な内容
事 業 名 郡山駅前一丁目第二地区第一種市街地再開発事業
施 行 者 公益財団法人 湯浅報恩会 外1名
所 在 地 郡山市駅前一丁目地内
面  積 約0.3ヘクタール
総事業費 約98億円
整備内容 延べ面積 約20,797平方メートル
主な用途 医療(健診センター)、分譲住宅、駐車場
住宅戸数 157戸

 


図14 完成イメージ


b その他再開発事業

<細沼町地区地域生活拠点型再開発事業>

 細沼町地区地域生活拠点型再開発事業は、老朽化した医療施設(日東病院)の更新及びまちなかの居住促進に向けた住宅の整備を一体的に実施し、市街地環境の整備改善を目的とした事業であり、実施主体は地権者等による協議会である。

 この事業は、2018(平成30)年の開発関係者からの計画提案がきっかけとなり、以降、市と協議を行いながら事業計画を作成し、2019(令和元)年から国・県、市の財政支援を充てて整備が進められている。

 当事業は、第一段階として、既存病院の機能を残しつつ、隣接する新たな敷地に新病院を建設・移転することとしており、第二段階では、既存病院を解体・除却し、高層住宅を建設する計画である。第一段階である新病院の建設は、2021(令和3)年10月に完成し、同年11月1日から診療が開始された。

 なお、事業の概要等は、表9のとおりである。

表9 事業概要
主な内容
事 業 名 細沼町地区地域生活拠点型再開発事業
施 行 者 郡山市細沼町地区再開発ビル建設協議会
所 在 地 郡山市細沼町地内
面  積 約0.4ヘクタール
総事業費 約32億円
整備内容 延べ面積 約7,590平方メートル
主な用途 医療施設、共同住宅、駐車場等
住宅戸数 50戸

 


図15 一部完成状況


<大町二丁目地区地域生活拠点型再開発事業>

 大町二丁目地区地域生活拠点型再開発事業は、中心市街地に位置する老朽化した旧医療施設(旧星総合病院)の跡地について、多様な人々の健康で豊かな生活支援をテーマに、医療施設や子育て支援、商業施設及び高齢者向け住居といった複合施設を一体的に整備する事業である。地区に新たな拠点施設を整備することにより、周辺地域への波及効果、地区の活性化につながる事業として大きく期待されている事業である。また、実施主体は地権者である。

 この事業は、2019(令和元)年の地権者からの計画提案がきっかけとなり、以降、市と協議を行いながら事業計画を作成し、2021(令和3)年から国・県、市の財政支援を充てて整備が進められている。

 なお、事業の概要等は、表10のとおりである。

表10 事業概要
主な内容
事 業 名 大町二丁目地区地域生活拠点型再開発事業
施 行 者 公益財団法人星総合病院
所 在 地 郡山市大町二丁目地内
面  積 約0.5ヘクタール
総事業費 約112億円
整備内容 延べ面積 約15,769平方メートル
主な用途 共同住宅、児童福祉施設、健診施設、商業施設等
住宅戸数 約46戸

 


図16 完成イメージ

 以上のように、2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間は、東日本大震災及びそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故からの復旧・復興事業に取り組んできた。ここに記載した事業のほかにも、市内一円で、東日本大震災の影響を受け、建物の耐震補強等といった構造改善の取り組みや被災建物を取り壊しリニューアルする事業者も多い。ただ一方では、土地建物を売却してしまうなどの動きも見られている。残念ながら、震災後、郡山駅周辺の中心市街地では、図17に示すとおり、空き家や空き地、平面駐車場等といった低未利用地の増加、都市のスポンジ化が目立つようになり、更に、これまで中心市街地に多く立地していた集客施設や新たに建築を計画する集客施設は、モータリゼーションの進展に伴い、道路アクセスが良く、地価の安い郊外地域へ立地するなど、都市の空洞化がますます進んでいく傾向にあり、都市全体での魅力低下、都市機能の分散化が大きな課題と考えられる。

 併せて、人口減少や少子高齢化など、社会環境が大きく変化する中で、安定・成熟の都市型社会に向けた都市の再構築、集約型都市構造の構築も進めていく必要がある。

 今後、持続的な都市を目指し土地利用を進めるに当たっては、本市の特性が最大限に発揮でき、民間投資を呼び込む仕組みづくりや環境整備をしっかりと行政が行いつつ、民間活力を生かした地域活性化及び事業展開が図られるよう、官民が連携し、情報共有しながら一歩ずつ前に進めていくことが重要と考える。

 なお、近年の都市を取り巻く著しい状況の変化に対し、本市においても様々特徴あるまちづくりが実践されており、これらの詳細について、「第4節 多様なまちづくり」に記しているので参照されたい。


図17 郡山駅周辺の未利用地(2014年)
出所:『都市計画マスタープラン2015』(2015)
郡山市都市構想部都市政策課

(都市構想部)