2014(平成26)年に立地適正化計画制度が導入され、コンパクト・プラス・ネットワークの形成に向けた取組が全国で展開されている。一方でこれら政策推進に当たっては、中心地域等へ都市機能を集積させた上で、まちなかを多くの人材の出会いと交流により、地域の消費と投資、雇用を生み出し、豊かで成熟した生活を実現する「都市空間」へと再生していく戦略が求められている。国は、こうした都市経済・社会の「多様性」の促進やその集積・交流を通じた「イノベーション」の創出など、付加価値を創出する「都市」のあり方について検討するため、2019(平成31)年2月に、産学官のメンバーで構成された「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」を設置、同年6月26日に『「居心地が良く歩きたくなるまちなか」からはじまる都市の再生』が取りまとめられ、国土交通大臣へ提言されている。この提言を受け、国土交通省では、1.必要な制度改正等の準備、2.「ウォーカブル推進都市」として取組を進める地方公共団体の募集、3.関係者との政策対話の開始、この3点を実施することとしている。
このうち、2.の「ウォーカブル推進都市」に関し郡山市では、郡山駅周辺を中心とした滞在快適性の高い歩きたくなるまちなかの形成を目指すこととし、2019(令和元)年10月に「ウォーカブル推進都市」に関する国の登録が行われたところである。
2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間、本市の中心市街地においては、東日本大震災からの復旧・復興を加速させるため、「大町土地区画整理事業」による都市計画道路、日の出通り線及びその周辺区域の再整備を推進してきた。また、震災による被害を受けた旧星総合病院については、多世代交流機能を持つ複合施設として整備する「大町二丁目地区地域生活拠点型再開発事業」として2021(令和3)年に着手されるとともに、2008(平成20)年から事業休止されていた旧寿泉堂綜合病院については、健診センター及び都市型住宅とする「駅前一丁目第二地区第一種市街地再開発事業」が、2021(令和3)年に事業再開されるなど、民間事業者による市街地の再整備も活発に動き出し、敷地内に公共通路やキッチンカーが設置できるような滞在快適性の高い空間を整備するなど、本市の目指すウォーカブルなまちづくりに呼応した取り組みが進展してきている。
今後は、国が支援する「官民連携まちなか再生推進事業」の活用など、官民の協力のもと、市街地開発事業を含めた様々な取組を通じ、本市中心市街地において、都市の成長のポテンシャルを引き出しながら、様々な人たちによるイノベーションの創出や人間中心の豊かな生活の実現につながる都市再生が期待される。