2 防災まちづくり

 国の社会資本整備審議会河川分科会においては、2015(平成27)年9月に発生した関東・東北豪雨災害を受け、同年12月に「施設の能力には限界があり、施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」へと意識を改革し、社会全体で洪水に備える「水防災意識社会」の再構築についての必要性が示された。近年、頻発化する水災害の甚大な被害により、社会のあらゆる関係者が協働して流域全体で治水対策を行う「流域治水」の考え方が重要というものである。その後も全国各地で、台風や豪雨災害等が発生しており、「水防災意識社会」の再構築に向けた取り組みの加速化を図るため、2017(平成29)年には水防法等の改正等が行われている。

 こうした社会のあらゆる関係者の協働による流域治水の考えにより、災害リスクを勘案した防災まちづくりを推進するため、2020(令和2)年に都市再生特別措置法が改正され、同法第81条に規定する「立地適正化計画」に防災対策等を盛り込む「防災指針」の記載が位置付けられた。

 郡山市立地適正化計画は、当初、2019(平成31)年3月に策定していたが、その中では、居住誘導区域等の設定に際し、水災害時における一定の浸水深を想定するなど、防災上の視点を考慮した区域設定を行っていたところである。このような中、2019(令和元)年10月に発生した東日本台風により、本市の居住誘導区域の一部では、最大約2mを超える浸水深が確認されるという甚大な被害が生じている。このことから、改めて当計画の検証及び浸水エリアでの対策等の見直し検討を行い、2021(令和3)年3月に当計画を改定している。なお、防災対策が必要となる居住誘導区域の浸水エリアと代表的な取り組み等は以下のとおりである。


図2 浸水リスクエリア及び取組
出所:『郡山市立地適正化計画』(2021)
郡山市都市構想部都市政策課を編集加工