全国における2021(令和3)年中の交通事故による死者数は2,636人と、6年連続減少し、前年に引き続き、警察庁が統計を保有する1948(昭和23)年以降最少を更新した(警察庁『令和4年版警察白書』)。
福島県内の交通情勢は、2021年現在の車両登録台数は180万台で10年前と比較して5万台増加し、免許人口は少子高齢化を反映して127万7,319人で2万8,093人減少した。交通事故は、全国と同様、発生件数、傷者数、死者数ともに年々減少した。特に、死者数は、2012(平成23)年の89人から2021(令和3)年は49人と、現行の交通事故統計が始まった1948(昭和23)年以降最少となった。一方で、東北地方では死者数が最も多い状況にある(福島県『第11次福島県交通安全計画』)。
郡山市は、県の中央に位置する立地条件から交通網が整備された要衝にあり、昼夜ともに交流人口、流入車両の激しい地域である。2012(平成24)年から2021(令和3)年までの交通情勢は、人口が10年間で約2,000人減少する中で、高齢者人口が約1万8,500人(2010(平成22)年から2020(令和2)年)増加し、運転免許人口は約5,500人の増、原動機付自転車を除く登録車両は約1万4,500台(2012(平成24)年から2021(令和3)年)増加した(郡山市(2023)『郡山市統計書2022(令和4)年盤』)。
こうした中で、交通事故は、1972(昭和47)年には死者数が43 人と過去最悪となったが、その後は発生件数、傷者数、死者数ともに減少し、2021(令和3)年には発生件数620件、傷者数715人と過去最少を記録した。一方、死者数は、2014(平成26)年までは10人台で推移していたが、2015(平成27)年には5人と過去最少を記録した。その後、増加に転じたものの一桁台で推移している。(図9、図10、図11)
死亡事故の特徴は、高齢者関与の事故が多く、2018(平成30)年、2020(令和2)年、2021(令和3)年の事故の70%以上が、高齢者の自動車運転中や歩行中、自転車による事故であり、県内の高齢者関与の死亡事故の65%より高いのが特徴である。交通事故が減少傾向にあるとは言え、益々進展する高齢化社会を迎えて予断を許さない状況にあり、引き続き交通安全対策を強力に推進していく必要がある。
交通事故減少の主な要因は、高齢者の運転免許証自主返納に対する支援を含む「高齢者と子供の事故防止」、「道路横断中の事故防止」、「自転車の安全利用」、「シートベルトの着用の徹底」、また、「交通安全教育」、「道路環境・安全施設の整備」、「救助・救急体制の整備」、「悪質・危険運転の根絶」等を着実に推進してきたことである。郡山市においては、数次にわたる郡山市交通安全計画に基づき各種施策に取り組んできたところであり、特に、2016(平成28)年の第10次郡山市交通安全計画から「セーフコミュニティ」活動を推進している効果とも考えられる。