三春ダムに新たな水源を求め荒井浄水場建設と関連施設の整備により、東部地域への水道水安定供給を主要な目的とした第7次拡張事業が完了し、水道事業の次の課題は老朽化した豊田浄水場の更新であった。
1912(明治45)年の近代水道創設時に建設された豊田浄水場は、稼働後100年の間、産業の発展や人口の増加による水需要増大に応えるため、数次にわたり拡張更新を行ってきたが、多くの施設が老朽化しており抜本的な更新が必要とされ、多額の更新費用が見込まれる状況となっていた。
このような状況を踏まえ、大量の電力を使用する動力配水から、自然流下方式による安定給水への切り替え、また長距離の開水路に対し閉水路による取水流路方式でかつ導水の二重化が可能であること、統合によるスケールメリット等を考慮した結果、豊田浄水場の更新は実施せず、必要最小限の修繕等により運用を行いながら、堀口浄水場へその機能を移転することとした。
この「浄水場統合事業」は、第8次事業認可により2008(平成20)年度から2012(平成24)年度までの5ヵ年計画、総事業費約98億円をかけて実施した。
これにより、堀口浄水場の施設能力は、堀口浄水場の最適な増設規模と旧豊田浄水場給水区域当時の給水量実績を勘案した26,000立方メートルとこれまでの96,000立方メートルを合わせた122,000立方メートル/日となり、2013(平成25)年4月1日から旧豊田浄水場の給水区域へ給水を開始し本市で使用する水道水の約8割を供給する基幹浄水場となった。
a 緊急時連絡管整備事業
基幹浄水場となる堀口浄水場からの配水系統において、災害等により事故が発生した際の、断水リスクの軽減を図るため、2003(平成15)年度から2016(平成28)年度にかけて、堀口浄水場からの多田野、河内、本宮舘配水系統の配水幹線間での相互融通機能を強化するため連絡管を整備した。
b 未給水地区解消事業
計画給水区域内で、水道水が給水されていない地区である西田町高野地区及び三町目上地区において、地下水等の枯渇などにより生活用水の確保が困難等の理由から水道施設の整備を決定、2014(平成26)年に着手し8年間の事業期間と総事業費23億円をかけて、2022(令和4)年3月に事業が完了した。
高野・三町目上地区上水道組合による給水管の布設、上下水道局における配水管の布設、配水池、ポンプ場の整備を実施しながら、2016(平成28)年3月以降、工事が完了した地区から給水を順次開始し、給水戸数281戸、集会所12ヵ所、消防詰所1ヵ所に安定して水道水の供給ができるようになり、普及率は事業完了時の2022(令和4)年3月で96.5%に達した。