2019(令和元)年10月6日に南鳥島近海で台風第19号が発生し、12日19時前に大型で強い勢力で伊豆半島に上陸し、関東地方を北東へ進み、13日12時に北海道の南東海上で温帯低気圧となった。
静岡県や新潟県、関東甲信越地方、東北地方の多くの地点で、3、6、12、24時間降雨量の観測史上1位の値を更新するなど、記録的な大雨となり、本県を含む1都12県に大雨洪水警報が発表された。
本市においては、10月12日の14時9分に大雨・暴風警報、15時30分に土砂災害警戒情報、15時48分に洪水警報、19時50分に大雨特別警報(災害発表)、22時に大雨特別警報(浸水害追加)が発表され、12日の日降水量は観測史上1位となる185mm、13日1時の阿武隈川阿久津水位観測所の水位が10.01m(過去最高)を記録するなど、甚大な被害をもたらした。
下水道施設の被害状況は、雨水ポンプ場、汚水中継ポンプ場、下水道管理センター等の浸水や市内各所での管きょ・マンホール等の隆起や破損等に及んだ。
阿武隈川の水位上昇に伴い、支川である逢瀬川の越水により、梅田ポンプ場(富久山町久保田字梅田地内)では、外水が流入し浸水したため、電気・機械設備が停止した(写真1)。下水道管理センター(横塚地内)では、沈砂池及び地下管廊が浸水したが、運転を継続した(写真2)。
水門町地区においては堤防未整備区間からの溢水と阿武隈川の支川である谷田川の堤防の決壊により、水門町ポンプ場(水門町地内)に外水が流入し浸水したため、電気・機械設備が停止し、水門町真空ステーション(水門町地内)も停止した。一方、行合橋中継ポンプ場(水門町地内)は、外水が流入し、高圧受電用開閉器に付属している地絡方向継電器が浸水し、停電となったが、非常用自家発電設備が稼働し、自動運転を継続した(写真3、4)。
このほかにも、田村No.3・安積No.4・5・7のマンホールポンプ場で制御盤が浸水し、各所で管きょ・マンホール等のつまりや隆起、破損等が発生した。また、五輪下排水樋門(安積町笹川地内)では、101号雨水幹線管きょ部の水位が上昇し、水位計が浸水し、計測不能となった。
農業集落排水施設でも、各処理施設等が浸水等の被害を受けた。
木村・小泉地区処理施設(西田町芹沢字下田地内)では、阿武隈川の支川である落合川が溢水し、外水が流入し浸水したため、電気・機械設備が停止した。
阿久津地区処理施設(阿久津町字八幡下地内)では、阿武隈川の水位上昇に伴う越水により、外水が流入し浸水したため、電気・機械設備が停止した(写真5)。
三町目地区処理施設(西田町三町目地内)では、阿武隈川の支川である堤川が溢水し、外水が流入し浸水したが、浸水深が浅く、運転を継続した。
このほかにも、小泉地区で3ヵ所、阿久津地区で1ヵ所、三町目地区で1ヵ所、マンホールポンプ場の制御盤が浸水し、ポンプが停止した。また、富久山クリーンセンター衛生処理センターが浸水したことにより、農業集落排水施設の汚泥引抜を一時休止するなどの影響を受けた。
市民への救済制度として、下水道使用料等の減免を行った。2020(令和2)年3月31日時点において、各項目の減免件数・金額は、下水道使用料は、1,747件、金額17,215,290円、農業集落排水施設使用料は、14件、金額104,043円、下水道受益者負担金等の徴収の猶予は、3件、金額42,410円に及んだ。