全国のアメダスより集計した時間雨量50mm以上の豪雨の発生回数(1,000地点あたり)は、昭和50年代は年平均174回だったものが、2008(平成20)年から2017(平成29)年には年平均238回となり、約30年前の1.4倍に増加した。このように全国的に1時間当たり50mm以上の降雨観測回数が増加傾向にあり、各地で甚大な水害が多発している。本市でも、2013(平成25)年6月に1時間当たり101mmの局地的豪雨があり、富久山町地内ほかにおいて、浸水被害に見舞われた。
この水害を契機に、多発する「ゲリラ豪雨」等による都市型浸水被害に対し、関係分野の行政機関や住民等が連携して浸水被害の軽減を図る取り組みを支援することを目的として、2013(平成25)年4月に国土交通省が創設した「100mm/h安心プラン」制度に、「郡山市ゲリラ豪雨対策9年プラン」が2014(平成26)年9月9日、東北で初めて登録された。
ハード対策では、対象降雨量58mm/hに対して、赤木貯留管・麓山調整池・図景貯留管・小原田貯留管・石塚貯留管の5ヵ所の雨水貯留施設等の整備を実施し、ソフト対策では、その降雨量を上回る降雨量74mm/hにおいて、下水道管理者による情報提供、地域住民による土嚢・止水板設置等(写真6、7)、それぞれの主体が対策を実施することにより、市街地部の浸水深を機能保全水深にとどめ、被害をできるだけ小さくすることを目標とした。
整備効果としては、例えば、麓山調整池の供用開始前後において、同程度の降雨を観測したが、導水管を通じて雨水が一時的に調整池に貯められた結果、浸水被害が軽減された(図1)。