(2) 市街地道路網整備

 このような自動車保有台数の増加に対し、『資料編』(第4編・11-1-1)は郡山市における道路実延長、道路管理者別の舗装率等の推移を示す。道路実延長は2012(平成24)年、2021(令和3)年とも約3,800kmであるが、国道と県道の延長に増減がある。これは国道4号郡山バイパスと並行する現道区間の県管理への移行が含まれている。これに対して、舗装率については、市道の舗装延長の増加に伴って全道路も上昇しており、全道路で約85%、市道で約83%となっている。

 一方、都市計画街路については、2012(平成24)年度で計画延長204.08km、整備率68.3%であったが、2021(令和3)年度で計画延長は同じく204.08km、整備延長146.91km、整備率72%と、10年間で約4%程度の進捗状況であった。『郡山市史 続編4』よりは増加しているが、市街地での道路整備の困難さが伺える(『資料編』(第4編・11-1-2))。

 『資料編』(第4編・11-1-3)に郡山市の都市計画街路図を示す。『郡山市史 続編4』と比較すると、内環状線の芳賀・横塚地区の一部4車線供用開始、東部幹線の久保田工区・水神山工区区間の供用開始、笹川大善寺線の暫定2車線での供用開始など環状道路の整備が進んだ。


a 内環状線

 都市計画道路「内環状線」は、郡山都市圏における骨格幹線道路に位置づけられている環状道路であり、市内の交通量を分散させることにより渋滞緩和が期待できる路線である。この中で芳賀・横塚地区の第2期工区の380mが2019(令和元)年12月18日に供用開始した。写真2(郡山市提供)に今回開通した区間を示す。写真奥が県道小野郡山線である。他に現在事業中の区間は、芳賀・横塚地区第3期工区の500mと福島県施工区間の900mであり、残る未整備区間は2,540mとなる。今後残る区間の整備を推進することにより、環状道路の機能を十分発揮できるようになる。


写真2 内環状線(芳賀・横塚地区第2期工区)供用開始


b 東部幹線

 内環状線の内側に位置する都市計画道路「東部幹線」は内環状線を補完する幹線道路であり、未開通区間の一部である久保田工区と水神山工区の820mが2021(令和3)年6月10日に開通した。この工区は、国道288号三春街道入口交差点と県道荒井郡山線を接続する道路であり、福島県が2004(平成16)年に調査・測量に着手し、今回開通に至った。道路は片側2車線で、歩道幅員5.5mの道路幅員27.0mであり事業費は約80億円である(『福島民友』2021年6月11日)。東部幹線の残り区間は、郡山市が街路事業(富久山工区、桜木工区)及び伊賀河原土地区画整理事業内の道路で整備し、最終的にはうねめ通りに接続する。これが完成することで内々環状道路となり、交通量の分散を図ることができる。写真3(福島県県中建設事務所提供)は開通区間を国道288号方面から撮影したものである。


写真3 東部幹線(久保田・水神山工区)供用開始


c 笹川大善寺線

 都市計画道路「笹川大善寺線」は、「郡山都市圏総合都市交通計画」において策定された「道路マスタープラン」の骨格幹線道路に位置づけられる道路で、東北自動車道郡山南ICと国道49号を結ぶ環状道路としての機能を有する重要な道路である。この道路は計画延長2,360m、計画幅員25mであり、当面は暫定2車線(道路幅員12.5m)として1988(昭和63)年度に着手して以来、各種事業により整備を進めて、2019(令和元)年9月15日に全線開通した。総事業費は約73億円である。写真4(郡山市提供)は笹川大橋を撮影したものであり、写真奥が国道49号方面である。この道路の開通により、国道49号の渋滞緩和や環状道路網の形成が期待される。


写真4 笹川大善寺線の暫定2車線供用開始


d 郡山湖南線

 主要地方道郡山湖南線は、郡山市堂前町と湖南町の国道294号とを連絡し、郡山市と会津若松市を結ぶ東西方向の幹線道路である。この道路は交通の難所である三森峠を通過するため、特に冬期間の通行に支障を来していた。そこで福島県は、1983(昭和58)年に三森Ⅱ工区の道路改良工事に着手し、1992(平成4)年に三森トンネル、三森大橋を含むⅡ工区2.7km供用させた。さらに2000(平成12)年度に三森Ⅰ工区2.1kmに事業着手し、2005年12月3日多田野トンネル、多田野大橋を含む第1期施工区間850mが完成した。ここまでを『郡山市史 続編4』で報告した。その後、残るⅠ工区の第2期施工区間1.27kmの工事に着手し、休石1号橋、2号橋、3号橋、逢瀬第1、第2トンネル工事を終了し、2021(令和3)年11月28日に6.6km三森工区全区画の供用を開始した。約38年にわたり行われてきた三森峠の工事がすべて完了し、年間を通して会津地方と安全な交通が確保され、そして三森工区内の所要時間は旧道に比べて約26分短縮される(『福島民報』2021年11月29日)。写真5(福島県県中建設事務所提供)は今回開通した三森Ⅰ工区第2期施工区間の全景を撮影した航空写真である。


写真5 郡山湖南線(三森Ⅰ工区第2期施工区間)供用開始