4 今後の交通計画上の課題

 郡山市は、第2回のパーソントリップ調査結果を受けて、2010(平成22)年1月に策定した「郡山都市圏総合都市交通計画」と「郡山市の都市計画マスタープラン」を基に「郡山市総合都市交通戦略」を2011(平成23)年6月に策定している。ここでは4つの交通戦略、すなわち「使いやすい公共交通体系づくり」「まちと環境に優しい自転車・歩行者の移動環境づくり」「円滑な都市交通を支える道路づくり」「公共交通や自転車・徒歩への転換を促すモビリティ・マネジメントの推進」を設定し、個々の戦略を達成させるための重点プロジェクトを実行していくことになっている。

 『郡山市史 続編5』の範囲内では、「円滑な都市交通を支える道路づくり」については、スマートインターチェンジの導入、市街地道路の環状系道路の整備などが進んだ。しかしながら、交通渋滞が激しい区間は依然として存在している。「使いやすい公共交通体系づくり」については、鉄道の新駅設置や交通結節点の整備、郊外部でのデマンド型乗合タクシーの運用やバスロケーションシステムが導入された。さらに「公共交通や自転車・徒歩への転換を促すモビリティ・マネジメントの推進」については、鉄道新駅におけるパークアンドライド導入の模索や駐輪場の整備によるサイクルアンドライド、バスターミナルにおけるパークアンドバスライドの実施など、過度に自動車に依存せず、公共交通への転換を促す様々な試みが導入されている。

 今後については、2023(令和5)年に策定された「郡山市総合都市交通マスタープラン」における基本的な方針は『交通手段が充実しすべての人が安心して円滑に移動できるまち』としているので、これまで取り組んできた様々な施策をさらに拡充させることによって、超高齢社会や環境問題への対応につながると考えられる。

(堀井 雅史)