(1) 新設住宅着工戸数の推移

 郡山市の新設住宅着工戸数をみると(図1)、2011(平成23)年の東日本大震災直後の2012(平成24)年は約2,300戸であり、その後3年間は毎年100戸以上の増加傾向がみられ、2015(平成27)年には前年比20%増の3,111戸まで増加した。郡山市内に持家・貸家ともに新設住宅を着工した状況が見て取れるが、被災者生活再建支援制度の申請が災害発生日から37ヵ月以内であることも影響し、その年をピークに減少に転じている。その後は前年比約5%の減少であったが、以降は前年比4~18%減少程度となり、2020(令和2)年には2,000戸を下回り、2021(令和3)年には1,724戸まで減少し、2008(平成20)年9月に起きたリーマンショックの影響を受けていた震災以前とほぼ同様の戸数にまで落ち込んでいる。持家、貸家などの種類の違いに着目した新設住宅の種類別構成比をみてみると、震災直後は持家が約半数、2015(平成27)年から3年間は貸家が約半数を占めるとともに分譲住宅の割合が増加する傾向がみられ、2019(令和元)年では、持家と分譲住宅がともに36%を占めている。その後は貸家が25%程度で推移し、持家は再び約半数を占め、次に分譲住宅の占める割合が大きい結果となった。2012(平成24)年からの10年間における総数での種類別構成比は、持家と貸家がそれぞれ41.2%、38.9%と多く、次いで分譲住宅が19.6%、給与住宅は0.3%と僅かであった。


図1 郡山市の新設住宅着工戸数の推移
出所:郡山市都市構想部開発建築指導課

 地区別に新設動向をみると(図2)、旧市内が全体の45%を占め、全体の動きとは若干異なる推移を見せている。2017(平成29)年の落ち込みが激しく、前年比20%以上の減少がみられ、その後は微減傾向となっている。一方、旧市内以外の地区においては、土地区画整理事業の進捗や民間住宅地の開発状況によって若干差がみられるものの、旧市内とは異なり、着工戸数は10年間で概ね横ばいか微増傾向を示している。とりわけ富久山地区は2017(平成29)年4月1日にJR磐越西線郡山富田駅が開業した影響が顕著に表れ、その年では前年比約30%増加し、その後も200戸以上の着工数で推移し、全体の約20%を占めている。


図2 郡山市の地区別確認申請受付件数の推移
出所:郡山市都市構想部開発建築指導課