1 はじめに

 2012(平成24)年は前年3月11日に発生した、東日本大震災とその後の東京電力福島第一原子力発電所の事故による被災が続いている状況であった。東日本大震災では郡山市でも震度6弱の地震により家屋の全壊、半壊、公共施設等の損壊など多数の被害があり、市内に避難所を開設し避難者の支援にあたっていた。同年3月12日には郡山市社会福祉協議会は災害ボランティアセンターを設置し、翌年3月までに1,363名の登録と延べ1,901名の活動があった。災害ボランティアの活動は、救援物資の仕分け、看護師等の有資格者による巡回健康チェック、避難者への生活支援等が行われた。(郡山市(2017)『東日本大震災-郡山市の記録-』)郡山市内の避難所については2011(平成23)年6月30日にはすべて閉鎖された。しかし一方では東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射線の影響により多くの市民が県内外へ避難する状況が続いていた。郡山市では2012(平成24)年10月1日時点では5,866人(18歳未満2,640人)となっている。この人数は年々減少しているが10年経過しても避難が続いている。2021(令和3)年12月1日時点では3,697人、10年経過後の2022(令和4)年12月1日時点では3,584人(18歳未満963人)となっている(表1)。

表1 東日本大震災による避難者数の推移



 また原発事故による国の避難指示等で原発避難地域の住民は県内外に多数避難し、郡山市内ではビッグパレットふくしまに富岡町、大熊町、川内村等の住民が一時期約2,500名避難をしていた。同3月30日には「東日本大震災支援全国ネットワーク」が設立された。内閣府防災情報のホームページには東日本大震災におけるボランティア活動の取り組み事例として紹介されている。「東日本大震災後の3月16日から、防災ボランティアの団体、活動者及び学識者が中心となり、全国のNPO・NGO等による広域連携のネットワーク作りが始まり、3月30日に『東日本大震災支援全国ネットワーク』(以下「JCN」という。)が設立された(2011(平成23)年12月時点で約700団体が参加)。大きな災害においては、ボランティア団体ごとに個別の活動を展開しても、支援が行き届かない被災地が生じるおそれがあること等から、JCN加盟団体の間で、物資・情報の交換等の「横の連携」が図られた。」(内閣府『内閣府防災情報ホームページ』「東日本大震災におけるボランティアの取り組み事例4」<https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h24/bousai2012/html/honbun/1b_2h_4s_02_02.htm>参照2023年11月)

 そのビッグパレットふくしまも同年8月31日に閉鎖となり、避難をしていた方々は応急仮設住宅や借り上げ住宅等へ生活を移すことになった。

 東日本大震災後、10年間には郡山市では他にも大きな災害による被害があった。2019(令和元)年10月には東日本台風(台風19号)による大雨、暴風等による被害、2021(令和3)年2月には福島県沖地震により震度6弱、2022(令和4)年3月にも福島沖地震の震度5強(何れも郡山市での震度)により市内で被害が発生している。