2 東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故におけるボランティアの活動場所について~避難所から応急仮設住宅、借り上げ住宅へ

 福島県社会福祉協議会から2022(令和4)年3月に発行された「はあとふるふくしま 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故による被災・避難者支援の記録」には、当時の県社会福祉協議会による取り組みが詳細に記されている。福島県社会福祉協議会では、発災後から県社協による災害ボランティア本部の立ち上げや、近県の社会福祉協議会やNPO法人の協力を得ながら様々な取り組みを開始していた。一例であるが、ボランティア活動資金の調達や被災した社協の支援、福祉施設の状況把握、救援物資の受け入れと配布等多岐にわたっている。ボランティア関係では市町村災害ボランティアセンターの立ち上げや設置の支援、市町村災害ボランティアコーディネーターの派遣等である。県社協が把握している県内でのボランティア活動者は延べ52,426名(2011(平成23)年5月15日現在)と人数があげられている。

 また、全国社会福祉協議会の「全社協被災地支援・災害ボランティア情報」のホームページ(全国社会福祉協議会「東日本大震災12年」<https://www.saigaivc.com/earthquake/311/>参照2023年11月)には東日本大震災の際に東北3県(岩手県、宮城県、福島県)で活動したボランティアの人数が集計されている。ここで報告されている人数は同ホームページによると「東日本大震災被災3県(岩手県・宮城県・福島県)の各市町村社会福祉協議会に設置された災害ボランティアセンターを通じて活動したボランティアの人数」となっていて、「災害ボランティアセンター終了後は、各市町村社会福祉協議会ボランティアセンターを通じて、東日本大震災被災者支援等のボランティア活動をされた方の人数を集計しています」と説明がされている。あくまでも災害ボランティアセンターを通じて活動した人数で、ボランティアセンターを通さないで活動した団体や個人も多数あった。当時は他の組織等でもボランティア活動等へ助成を行っていることもあり、全体数を掴むのは容易ではないと思われ、ここでの人数は参考値となる。また数値は2018(平成30)年1月までとなっており、その理由については「被災地におけるボランティア活動は、現在、サロン活動・居場所づくり・見守りなど、地域で一般的に行われているボランティア活動に移行してきています。そのため、被災3県のボランティア活動者数は2018(平成30)年1月までの集計としています。」としている。県内では8年間の間に22万3,556人もの人が活動している。

表2 全社協資料より岩手県・宮城県・福島県で2011年3月~2018年1月まで活動した人数から「福島県」を抜粋し作成した
集計期間 人数(年計)
2011(平成23)年 3月~12月 143,792
2012(平成24)年 1月~12月 17,218
2013(平成25)年 1月~12月 16,242
2014(平成26)年 1月~12月 17,060
2015(平成27)年 1月~12月 11,641
2016(平成28)年 1月~12月 9,504
2017(平成29)年 1月~12月 7,762
2018(平成30)年 1月 337
合計 223,556

※参考 岩手県 同期間合計 555,635
    宮城県 同期間合計 766,476
(全国社会福祉協議会『全社協被災地支援・災害ボランティア情報ホームページ』「東日本大震災被災3県(岩手県、宮城県、福島県)のボランティア活動者数」<https://www.saigaivc.com/earthquake/311/>)

 2012(平成24)年以降ボランティアの活動は避難所での活動から、仮設住宅等へ移行していった。また時間経過とともに活動内容も変化をしていくこととなる。福島県の避難者支援の特徴としては、東北の被災2県(宮城県、岩手県)の状況とは異なり、被災地域での支援活動ではなく多くは全国の避難(先)地域での被災者(避難者)支援ということがあげられる。これは原発事故により原発事故被災地域に立ち入ることができず、市町村全体が避難対象となっていることなどによるもので、多くの住民がそれまで生活していた地域から離れることを余儀なくされたことによる。また市町村機能も大きな被害を受けた。富岡町、大熊町、双葉町は郡山市内に避難している住民に対して行政サービスの拠点として市内に事務所を設置して役場機能を維持した。

 全国に避難をした避難者について国は2011(平成23)年に「原発避難者特例法」(「東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律」平成23年法律第98号)を整備した。この法律は東日本大震災での原子力発電所の事故による災害の影響により、市町村の区域外に避難している住民に対する適切な行政サービスの提供等を行うために定められた法律である。これにより指定市町村から住民票を移さずに避難している住民は、一部の行政サービス(特例事務)を2012(平成24)年1月以降、避難先で受けることが可能となった。この制度は現在も続いている。

 さて、郡山市内には次の6ヵ所の応急仮設住宅が建設された(表3)。

表3 復興庁資料より「長期避難者等の生活拠点の形成に向けた取組方針《郡山市-富岡町、大熊町、双葉町》平成25年9月20日、平成30年3月30日改正」より
【応急仮設住宅(建設分)の状況】
入居市町村 所在地(団地名) 設置戸数
富岡町 南(南一丁目) 166
緑ヶ丘東(緑ヶ丘東七丁目) 169
富田町(富田町若宮前) 287
川内村 南(南一丁目) 150
富田町(富田町若宮前) 155
富田町(富田町稲川原) 96
双葉町 富田町(富田町若宮前) 65
喜久田町早稲原(喜久田町早稲原) 63
日和田町高倉(日和田町高倉) 122
1,273

 

 復興庁の資料では2013(平成25)年9月5日時点で、郡山市内6ヵ所に設置された仮設住宅、借り上げ住宅等に9,200人が生活しているとしている。主な避難元市町村の内訳は、富岡町が約3,100人、浪江町が約1,600人、川内村が約1,400人、大熊町が950人、双葉町が740人、南相馬市が約690人となっている。

 また2014(平成26)年4月には富岡町が約2,800人、浪江町が約1,400人、川内村が約1,400人、大熊町が約790人、南相馬市が約640人、双葉町が約620人となっている。応急仮設住宅入居(8,300人)の割合は、建設分が約2割、民間賃貸住宅分が約8割となっている。なお数値の元は福島県調べによるもので原発避難者特例法に基づく届出者とは一致しないとしている。