5 福島県に建設された復興公営住宅の特徴について

 前述のように復興公営住宅の建設方法については、直営方式と買取方式に大別することができ、構造形式としては、鉄筋コンクリート造(RC造)とプレキャストコンクリート工法(PC工法)による鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造と様々な構造形式の復興公営住宅が建設された。

 なかでもPC工法は、事前に成形されたコンクリート部材(プレキャストコンクリート)を工場生産し、その部材を建設現場に搬入してつなぎ合わせる工法で、復旧・復興工事の増加に伴う型枠・鉄筋工などの作業員の不足に対して、工場で予め製作した床・壁・屋根を現地で組み立てることで工期短縮と省力化が実現でき、また、多くの地区で同時に施工することも可能という点で、全体の4分の1の戸数を占めることとなった。

 一方、復興公営住宅に対して、戸建て住宅を希望する市町村が多数あったことから、地域材や地域の木造生産体制の活用を図る観点から、小規模なロットに分割して発注することで、戸建てや2戸1棟による木造の復興公営住宅が建設されるに至った。特に戸建てや2戸1棟タイプのものは、住宅団地のしつらえ方にも工夫があり、良好な街並み形成や景観に配慮した配置計画がなされたものも数多くあった。また、前述のように会津若松市の城北団地では、応急仮設住宅を復興公営住宅に転用したものも建設された。さらには、挽き板(ラミナ)を層ごとに直交するように積層接着してパネル化した木質材料である直交集成板、通称CLT(Cross Laminated Timber)による木造の復興公営住宅も2団地(3工区)で導入され、新技術の普及を図るとともに、住空間の木質化による安心とやすらぎのある居住環境を提供する試みも展開された。同様に、鉄骨造の復興公営住宅のなかでも、105角の杉角材を接着してパネルにしたWOOD.ALCと呼ばれる壁材で外壁と共用部の一部を木質化した試みが実施されるなど、多様な復興公営住宅の建設が実施された。


図9 飯舘村が福島市に整備した戸建ての飯野町復興公営住宅(左写真)と杉角材を接着してパネル化した外壁の福島市の県営北沢又団地復興公営住宅(右写真)