(9) 専門家派遣を活用した放射線出前授業

 新学習指導要領に「放射線の性質と利用」の項目が盛り込まれ、放射線災害を受けた地元で、小中学校の放射線教育で正しい知識をどう指導するかが課題であった(『福島民報』2012年5月18日)。

 市内では、放射線に関わる専門学会である日本放射線影響学会の「放射線Q&A講演会」事業を活用して、小中学校で出前授業が行われた(『福島民報』2017年6月15日、『福島民友』2020年1月27日)。同学会が経費を負担し、所属専門家約20名がボランティアで講師に登録され、これら専門家を講師に生徒や教職員・保護者を対象として、2012(平成24)年度から2019(令和元)年度まで延べ99回の放射線授業が開催された(『郡山市の原子力災害対策』 第17版)。

 また、環境省環境再生プラザの専門家派遣事業を利用して、放射線授業が行われた。生徒各自が空間線量計を持って校内の放射線量を測定する体験や、霧箱実験で放射線が飛ぶ様子の観察、専門家による基本的知識の講話等が行われた。

 この他、市放射線健康管理課職員による市の取り組みなどの説明が行われた。2016(平成28)年度から2019(令和元)年度まで、16校で出前授業が行われた(環境省『環境再生プラザホームページ』「事務報告」平成28年度~令和元年度<http://josen.env.go.jp/plaza/>)。


図23 校庭で空間線量率の測定
(出典:放射線健康管理課撮影)

(菊地 宗光)