21 国の廃棄物関係ガイドラインの策定と放射性物質汚染廃棄物への対処

 2011(平成23)年12月に国(環境省)は、福島第一原子力発電所事故由来の放射性物質により汚染された廃棄物の処理に関して廃棄物関係ガイドラインを策定した。

 福島第一原子力発電所の事故により大気中に放出された放射性物質は、風にのって広い地域に移動・拡散し、雨などにより地表や建物、樹木などに落下した。これが、日常生活の中で排出されるごみの焼却灰、浄水発生土、下水汚泥、稲わらやたい肥などに付着し、放射性物質により汚染された廃棄物が発生した。これらの汚染された廃棄物のほとんどは一般の廃棄物と同様の方法で安全に処理され、8,000Bq/kgを超え、環境大臣が指定したものは、指定廃棄物として国(環境省)の責任のもと適切な方法で処理されることとなった。

 (環境省(2011年、2013年)『廃棄物関係ガイドライン(2011年12月 第1版、2013年 第2版)』)


(1) 下水汚泥について

 日和田町の県中浄化センター(関連市町:郡山市、須賀川市、本宮市、鏡石町、矢吹町)に保管されていた下水汚泥は仮設焼却施設での焼却を2016(平成28)年5月に完了し、その後、2017(平成29)年3月までに仮設焼却炉を撤去した。

 焼却運転期間は2013(平成25)年9月7日から2016(平成28)年5月31日までであり、焼却処理量は約38,000t(うち環境省事業約11,000t)であった。指定廃棄物は富岡町の特定廃棄物埋立処分施設に輸送された。

 (『福島県県中浄化センター下水汚泥仮設焼却施設』<https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/70377.pdf>参照2023年10月11日)


(2) 浄水発生土について

 各浄水場で保管していた浄水発生土については、2018(平成30)年5月29日から8月31日までの間に、富岡町の特定廃棄物埋立処分施設に輸送された。輸送量は堀口、荒井、旧豊田浄水場で合計890tであった。


(3) 農業集落排水について

 市内に14ヵ所ある農業集落排水処理施設で保管していた汚泥については、2012(平成24)年7月以降、富久山衛生処理センターで脱水処理し、脱水汚泥は従来どおり一般廃棄物として、富久山クリーンセンターでの焼却処理を再開した。保管汚泥量は約2,400tであった。


(4) 農業系汚染廃棄物について

 農業系汚染廃棄物(稲わら、堆肥)については、それぞれの農業者所有の敷地内に保管されていたが、2018(平成30)年7月23日から2019(平成31)年11月26日までの間に田村市及び川内村の境界にある東京電力(株)敷地に建設した仮設焼却施設に輸送された。保管量は約732tであった。

(放射性物質汚染廃棄物処理情報サイト 開閉所農林業系廃棄物減容化事業)


(5) 焼却灰について

 東日本大震災以降に発生した生活ごみについては、河内、富久山クリーンセンターにおいて焼却処分し、発生した焼却灰はセメントで固化し河内埋立処分場で保管した。焼却灰の保管量は約52,000tであり富岡町の特定廃棄物埋立処分施設への輸送は2023(令和5)年9月で完了した。

 (環境省『特定廃棄物の埋立処分事業情報サイト』「特定廃棄物の埋立処分場の概要」<http://Shiteihaiki.env.go.jp/tokuteihaiki_umetate_fukushima/landfill_disposal_outline>参照2023年10月11日)

 (郡山市(2023年3月)『郡山市公式ホームページ』「郡山市の原子力災害 第18版」<https://www.city.koriyama.lg.jp/uploaded/attachment/57930.pdf>参照2023年10月12日)