「郡山市中心市街地活性化基本計画」については、『郡山市史 続編4』の「通史編」にて記載されているので参照されたい。
2009(平成21)年3月に「郡山市中心市街地活性化基本計画(改定版)」が策定され、2013(平成25)年3月までの5年間のまちなか活性化の基本計画が示されたが、2011(平成23)年の東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の原子力事故により、中心市街地の活性化には大きな変革が求められた。
このような状況の中、2013(平成25)年12月には、まちなかの重点整備地区商店街(11商店街)が、まちなかの復興に向けて、郡山市に対して、『「郡山市中心市街地活性化基本計画改定」に対する要望書』を提出した。
ここで、『「郡山市中心市街地活性化基本計画改定」に対する要望書』についてふれる。
要望書
平成25年12月4日
郡山市中央商店街振興組合 理事長 齋藤知二
郡山市駅前大通商店街振興組合 理事長 佐々木善寿
郡山市大町商店街振興組合 理事長 初瀬照夫
郡山市本町商店街 会長 次田一喜
郡山市南銀座商店街 会長 渡部高明
郡山市駅前南通り振興会 会長 小林良一
郡山市駅前陣屋通り商店街 会長 上村博
郡山市駅前アーケード商店街 会長 石田弘
郡山市大重商店街 会長 橋本州榮
郡山市日の出通り共栄会 代表 三代川勝一
郡山市テアトル通り商店振興会 会長 有我収
郡山市中心市街地活性化基本計画改定に対する要望
郡山市中心市街地の空洞化が進展する中、重点整備地区商店街は活性化に向けたソフト事業、ハード事業、個店の経営努力など積極的に実施してまいりました。
しかしながら、平成23年3月11日に発生した東日本大震災、その後の東京電力福島第一原子力発電所事故に端を発した放射能汚染による風評被害は市民生活ばかりでなく、郡山市のまちづくりに大きなダメージを与えました。
商業施設の損壊、商業者の撤退は空き地、空き店舗、駐車場の増加となって「まちなみ」が破壊され、都市機能と商店街としての魅力が更に低下し、郡山市全体の地盤沈下に陥ることが懸念されています。
駅前を中心とする当地区は“福島県の商都 郡山”の【まちの顔】として、市民の生活に潤いと豊かさをもたらし、文化・教養・娯楽・買い物等のにぎわいや活力があふれる【まち】でした。
当地区の衰退は郡山市の経済、市民生活に大きな影響を及ぼし、市全体の活力低下へとつながりかねません。早期で抜本的な対策が望まれます。
今回、郡山市中心市街地活性化基本計画の改定にあたり、重点整備地区内の優先度の高い活性化課題(別紙)を抽出しましたので、ご検討の上早期に実施してくださいますよう要望します。
(別紙)
郡山市中心市街地重点整備地区11商店街≪要望事項≫
1.市街地の整備<復興都市・50万都市への礎>
目標:民都・経済県都郡山のポテンシャルの再構築に切り込む
(1)大町土地区画整理事業(日の出通り線)の早期完成
←解決見通しをつけ、地域開発ビジョン策定を各商店街参加で協議開始
(2)旧トポス跡地の取得と商業施設などの具体化を市民・専門家参加で検討
←高速バスターミナル、テナント誘致、居住・介護施設
(3)施設の整備
・防犯カメラ増設支援・駅前スクランブル交差点増設・ペデストリアンデッキ
・高齢者が4号線を安全に横断できるエレベーターの設置(駅前通りと4号線の交差点)
(4)交通アクセス再検討・実施
・各種都市機能へ歩行者優先道路整備、公共交通機関で安全にアクセス可能
・バス路線見直し(バスの小型化・網の目循環)
・歩道・サイコロ石通り・タイル道の整備、補修徹底
2.商店街機能の魅力向上<にぎわいを取り戻す>
目標:都市の魅力、商店街機能復活と充実の実現
・利便性・安全性・コミュニティ性・情報性・快適性・レジャー性・文化性・国際性
(1)空き店舗解消支援
・テナントリーシングの組織化と戦力化で計画的魅力的な業種を誘致
←専門家・商店街・行政のプロジェクトへの支援強化
・空きビル(空き地含む)の再生開発事業促進、指導協力の強化
(2)商業施設の復興・再生へ、都市のプロデュースチーム編成と再生支援強化
・寿泉堂病院二期工事早期着工の支援強化
・旧トポス ・太田記念病院 ・旧朝日生命ビルの開発指導と支援
(3)遊休不動産の有効活用促進支援
←遊休不動産・ビルの再利活用のアイディア・事業案募集
(4)イベント開催団体・プロジェクトのサポート・支援
3.街なか居住推進<高齢者・若者の生きがいの場>
目標:地域コミュニティを再生し、安全安心な住みよい街へ改造を
(1)交流・居住用(多目的)施設整備
・旧トポス跡地・旧朝日生命エリートビルの積極的都市資源の活用計画指導
(2)居住環境の整備
・太田記念病院・星総合病院、本町・大町・大重界隈の抜本的対策取組み強化
(3)サービス付き高齢者向け住宅の供給支援
・専門家・商店街と行政が連携しての積極的な取り組み
(4)中心市街地共同住宅・ファミリー住宅供給事業の支援
・今までに無いプロジェクトで取り組む機関を立ち上げ
(5)高齢者・若者雇用促進支援
・交流・指導・斡旋の総合的な取り組み機関を設置・支援
追記:
上記要望の実現化に、「郡山市中心市街地まちづくり研究会」が中心となり、様々な機関・団体とも研究・協議を重ねてT・M・O実現を計ります。
*郡山まちづくり研究会(11月発足)
目標:中心市街地活性化協議会・中心市街地活性化基本計画が認定され、具体的活動が始まるまで、郡山駅前11商店街は、「まちづくり会社」の研究・研修をしてそれまでの準備に当たる
目的・運営
・郡山市中心市街地重点整備地区11商店街による活性化推進事業の計画実施
・「まちづくり会社」の研究・研修やシンポジューム等を行う
・各商店街で経費を分担し、代表者と担当者2名を任命する
・各商店街会員の会議参加は事前に申し出るが、オブザーバー扱いとする
・講師・専門家・関係機関の参加は、事前に会(代表幹事)の了解を得る
・産学官の新しい協同関係の枠組みとなる「郡山まちづくり協議会」も早急に立ち上げ、新たな都市活性化活動の本格的始動をめざす。
この要望書の提出以降、前記に述べた通り、停滞していたまちなかの復興に向けたハード整備事業が、郡山市、商店街、民間事業者の連携で進んだ。
また、2021(令和3)年11月には、ようやく旧寿泉堂総合病院跡建物の解体が着手され、2022(令和4)年10月に解体が完了した。
引き続き、郡山市における、まちなか復興に向けた計画の策定等についてふれることにする。