第1節 教育の動向

 21世紀は知識基盤社会ともいわれ、教育においては生涯を通して新たな価値を創造していく力の育成が求められている。第四次産業革命の進行とSociety5.0の到来を見据えるとともに、地球温暖化や予期せぬ自然災害による社会の激変にも対応できる新しい教育を目指す改革が、生涯学習の観点を踏まえた教育の質的充実を目指す世界共通の課題となってきた。このような中、我が国では2006(平成18)年に教育基本法が改正され具体的な教育改革の方向性が答申や提言、関連法令の改正等で示された。2012(平成24)年から2021(令和3)年までの10年間は、これらの教育改革が実質を伴う形として展開され始めた時期である。また、文部科学省に設置される中央教育審議会のほかに、経済産業省などの他の省庁や内閣総理大臣の私的諮問機関等においても教育改革に関する様々な提言がなされるなど、社会全体が当事者意識をもって教育課題に取り組もうとする新しい動きが定着した時期でもある。本市においても、東北地方太平洋沖地震とそれに伴う東京電力福島第一原子力発電所事故や、台風による浸水被害、新型コロナウイルス感染症の流行等の大規模災害により、教育、特に学校教育の危機的状況を経験し、予測困難な時代に求められる教育の在り方を希求する機運が教育関係者のみならず広く市民の中で高まっていったと考えられる。本節では、教育施策等の変遷において災害の影響が大きいことから、『郡山市史 続編4』では編集時期の関係で十分に記述できなかった東日本大震災後の状況を押さえた上で、本市所管の小・中・義務教育学校を中心に、この10年間の教育の動向を概観する。