(1) 子ども・子育て支援新制度

 2012(平成24)年に「子ども・子育て支援法」が成立し、同時に「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律」「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」が成立する。これらを「子ども・子育て関連三法」と称し、同年8月22日に公布された。この法律に基づいて2015(平成27)年「子ども・子育て支援新制度」が施行された。主なポイントは、第一に内閣府に子ども・子育て本部を置き、本部を中心に関係省庁が連携を図りつつ、少子化対策や子ども・子育て支援施策を推進して行くこと。第二に待機児童解消とともに、子どもの数が減少傾向にある地域における保育機能の確保を目的とした認定こども園・幼稚園・保育所(園)を通じた共通の給付「施設型給付」及び小規模保育等への給付「地域型保育給付」の創設、第三に認可・指導監督の一本化や法的位置づけ、財源措置の一本化等を図った認定こども園制度の改善、第四に教育・保育施設を利用する子どもの家庭だけでなく、在宅の子育て家庭を含むすべての家庭及び子どもを対象とする事業として、市町村が地域の実情に応じて実施する「地域子ども・子育て支援事業」の充実、第五に財源は消費税率引き上げによる、国及び地方の恒久財源の確保。第六に有識者・労働者代表・子育て当事者等が子育て支援の政策プロセスなどに参画・関与することができる子ども・子育て会議の設置、などである。この新制度により、今までは文部科学省の所管であった幼稚園と厚生労働省の所管であった保育所(園)に加えて、内閣府の所管となる「認定こども園」(2006(平成18)年から認定こども園はあったが2015(平成27)年に改善され普及を促進)が郡山市の幼児教育を担うこととなった。認定こども園は幼稚園と保育所のそれぞれの良さを併せ持ち、保護者の就労にかかわらず0歳~小学校入学前の子どもに幼児教育・保育を提供する施設である。また、地域の子育て支援を行う機能を持つことを位置づけている。

 本市においては、新制度の施行に合わせて2014(平成26)年までの「郡山市エンゼルプラン」の後継計画として、社会情勢の変化を再考し、地域に根差した子育て支援対策を一体的に推進するため「郡山市ニコニコ子ども・子育てプラン」を5年の計画期間で(2015(平成27)年~2019(令和元)年)策定した。子育て支援の施策として「教育・保育施設の需要量及び確保の方策」「教育・保育の一体的提供の推進」「教育・保育施設の質の向上」「多様な教育・保育事業の充実」を唱えている。続いて「子どもを第一に考えるまちづくり」を推進する「郡山市子ども条例」を2018(平成30)年4月に施行し、2020(令和2)年に「第2期郡山市ニコニコ子ども・子育てプラン」を策定した。子どもの最善の利益を尊重する・社会全体で子育てを支援する・切れ目なく子育てを支援するを基本理念に置き、地域の将来を見据えた、より実効性の高い子ども・子育て支援施策を展開することになった。更に、第2期郡山市教育振興基本計画(2015(平成27)年~2019(令和元)年)を策定、引き続き第3期郡山市教育振興基本計画(2020(令和2)年~2024(令和6)年)を策定した。その中で、幼児期の子どもにおける非認知能力の発達を見極める幼児教育の質の向上、誰もが充実した幼児教育を受けることができるよう、保護者負担の軽減を図る、幼児教育・保育施設の特性を踏まえての幼保小連携のさらなる充実と強化を推進することとした。

 子ども子育て支援新制度が施行されたことで、幼稚園と保育所(園)のそれぞれの良さを合わせ持つ認定こども園への移行が2015(平成27)年以降加速し、保護者の選択肢が増える一方、制度の浸透が不十分に感じ、幼稚園・保育所(園)と認定こども園それぞれの施設の違いが理解できずにいる保護者が多いことが感じられる。